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【素人目線で】東野圭吾の次に読むならこの作者・小説!おすすめ順で紹介

【素人目線で】東野圭吾の次に読むならこの作者・小説!おすすめ順で紹介 東野圭吾さんの作品が好きな方が次に読むならこの作家!この小説!というテーマでおすすめ順で紹介します。
東野圭吾さんの小説はほとんど読む尽くしてしまい、新作が文庫本になるのを待っている状態です。(単行本は価格が高いし持ち運びにくく読みにくいので、「文庫本」派です)
寝る前の布団の中で小説を読むのが至上の楽しみなのに、読む本がないのは非常に困る。・・・ということで東野圭吾さんの次に読む作家を探すために読み漁ったいろいろな作家、小説をレビューします。

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東野圭吾の次に読むならこの作者・小説!

<おすすめ度の目安>
あくまでも当サイト管理人の素人目線での独断と偏見による評価です。
もちろん作家の方、出版社の方と何の利害関係もなく、そもそも本を買ってもらうのが目的ではないので、素直な感想を記載しています。そのため、辛口な感想、意見もあるかもしれませんが、その点はご了承をお願いいたします。
しかしながら、当然ですが当サイト評価は何ら効力を持つものではありません。とにかく皆さんの小説選びの参考になれば幸いです。
おすすめ度星5つ
 :是非とも読んでほしい!!超~おすすめの作品
おすすめ度星4つ
 :面白い!ぜひ読んでほしい、おすすめ作品
おすすめ度星3つ
 :時間があるなら読んでみてほしい、好き嫌いが分かれそうな作品。
おすすめ度星2つ
 :おすすめできない平均点以下のイマイチ作品。
おすすめ度星1つ
 :読んでいる間で失敗した・・・と思った残念な1冊。

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ルパンの消息/横山秀夫

ルパンの消息/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星5つ

処女作とは思えない圧倒的な傑作!一転、二転、三転・・・どんでん返しが繰り返して、最後は涙が止まらない

「ルパンの消息」は横山秀夫さんのデビュー作、長編推理小説です。
1991年の第9回サントリーミステリー大賞の佳作に入選したのち改稿作業を経て、2005年5月に刊行されました。
デビュー作ということもあり、横山秀夫さんの代表作である「半落ち」や「臨場」とはまた違った雰囲気があり、代表作を読んだ後に読むと新鮮さを感じると思います。
15年前、自殺として処理された女性教師の転落死は実は殺人だった。警視庁に入った1本のタレ込みで事件捜査が息を吹き返す。時効まで24時間、事件は解決できるのか!?というところからストーリーが始まります。(裏書より)
本作品は横山秀夫さんの処女作なのですが、処女作とは思えないストーリーの面白さ、何重にも展開するストーリーで最後まで飽きさせません。
この手の長編推理小説はトリックが明かさた後、最後のほうは惰性で読み進めて読み終わるというパターンも少なくないのですが、最後まで興味を惹き付けて、飽きさせません。
ネタバレになってしまうので詳しくは書けないですが、二転、三転、四転、五転とどんでん返しが繰り返されて、どんどんとストーリーが展開していきます。
最も衝撃だったの最後のエンディング。。泣けるような展開ではないと思っていたのに最後の最後で涙が出て、涙が止まりませんでした。
(単行本:2005年05月/文庫本:2009年04月)

「横山秀夫 ルパンの消息」を探す


半落ち/横山秀夫

半落ち/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星5つ

中だるみとは無縁の子気味良いスピード感でグイグイと小説の世界に引き込まれます

「半落ち」は横山秀夫さんの警察小説です。ちなみに「半落ち」とは警察用語で「一部自供した」という意味を表します。
2003年に直木賞の最終選考まで残るものの落選。一部の選考委員から「致命的欠点が存在」と指摘されて議論を巻き起こした話題作です。(後日指摘は間違いと判明。致命的欠点と指摘された内容はネタバレになるので記載しません)
一方、そんな物議を醸す中でも数多くの読者から高い評価を得てベストセラーになり、2003年週刊文春の推理小説ベスト10の第1位に輝いています。
小説は大きく6つの章に分かれていて、おのおのの章で物語の目線が入れ替わります。1つの章ごとに小さなクライマックスを迎えるので、まったく中だるみすることなく子気味良いスピード感で読み進められます。章が進むごとにグイグイと小説の世界に引き込まれていきます。
さすが横山秀夫さんの十八番である「警察・検事・新聞社」を舞台にストーリーが進行していきますが、そのリアリティが半端ないです。
そして現職警察官、梶聡一郎がアルツハイマーを患う妻を殺害するシーンは何度読んでも、涙が滲みます。

「ぁぁぁああっ」と嗚咽がもれる予想だにもしない衝撃の結末

小説の題名である「半落ち」に結び付く、妻を殺害してから自首までの「空白の二日間」について最後12ページで語られるのであるが、「あっ」と驚くどんでん返しの結末とかではなく、「ぁぁぁああっ」と嗚咽がもれてしまうのような心に響く、それでいて予想もしない衝撃の結末です。そして、とても心が温まる、読後感の良い、ここ最近では最高に読み応えのある、読んでよかったと思える作品でした。
この作品をきっかけに横山秀夫さんの作品を全部読もうと思いました。
(単行本:2002年09月/文庫本:2005年09月)

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後悔と真実の色/貫井徳郎

後悔と真実の色/貫井徳郎 文庫本 おすすめ度星5つ

衝撃的な結末。そしてあり得なさそうな小説の世界とあり得そうな現実の世界を絶妙に繋いだ代表作

「後悔と真実の色」は2009年に刊行された貫井徳郎さんの長編ミステリー小説です。第23回山本周五郎賞を受賞しています。
700頁近い、分厚い本の厚みに一瞬読み始めるのを躊躇いますが一度読み始めたら、貫井徳郎さんの小説は読ませる力があり、また文章がとても読みやすいので、怒涛の如く一気に読み進められます。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、「後悔と真実の色」の面白いところは最後の最後まで犯人が分からないところ。サイトのレビューなどを見ているとすぐに犯人が分かったと言われている方もいますが、少なくとも当サイト管理人は最後の最後まで分かりませんでした。なので犯人が判明した時は衝撃的で「えっ!?」って混乱して状況が掴めず、2、3ページ戻って読み直しました。
話の展開は、あり得なさそうな小説の世界(フィクション)とあり得そうな現実の世界(ノンフィクション)を絶妙に繋ぎ合わせて描かれているので、飽きずに、それでいて興醒めせずに読めます。
「後悔と真実の色」は、間違いなく貫井徳郎さんの代表作品です。
(単行本:2009年10月/文庫本:2012年10月)

山本周五郎賞とは?
主に大衆文学、時代小説の分野で昭和期に活躍した山本周五郎にちなみ、すぐれた物語性を有する小説・文芸書に贈られる文学賞である。主催は新潮文芸振興会、後援は新潮社。
長年にわたり新潮社が開催した日本文学大賞の後継イベントとして、純文学を主とする三島由紀夫賞とともに1988年に創設された。 (ウィキペディア(Wikipedia)より)
直木賞(直木三十五賞)につぐ、大衆小説(エンタメ小説)のための日本を代表する文学賞。歴史は1935年に創設された直木賞のほうが50年以上古い。主催は直木賞が文藝春秋社系列、山本周五郎賞が新潮社系列となっている。
メディア、ネット記事など見ていても、現時点では知名度、注目度ともに直木賞のほうが高いが、小説が面白いかどうかは別物!?

「貫井徳郎 後悔と真実の色」を探す


深追い/横山秀夫

深追い/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星5つ

とても短編集とは思えない圧倒的な重厚感と読後感

交通事故係、鑑識係、泥棒刑事、少年係、会計課長・・・三ツ鐘署に勤務する七人の男たちが遭遇した事件を描いた不朽の警察小説。本の裏表紙に書かれている内容紹介を読んでも、はっきりと記載されていませんが、7つの短編小説が収められた短編集です。短編集だと気付かずに読み始めた方もいると思います。
7つの短編集だとハズレの作品が1つや2つ混じっていても不思議ではないのですが、どの短編小説もめちゃくちゃ面白く重厚で粒が揃っています。7つの短編ごとに違った読後感を残すところも秀逸かつ印象的です。
さらに短編小説にもかかわず、長編小説の重み、深さがあるので、実は当サイト管理人も一番最初の短編「深追い」が終わるまで、短編集だと気づかずに読んでいました。

とにかく警察官のリアリティが半端ない

「深追い」で横山秀夫さんの作品を初めて読みました。もともと新聞記者をされていた筆者、横山秀夫さんの経歴のおかげなのでしょうか、人間描写、特に警察官の描写がとにかくリアルです。小説の中だから存在できる警察官ではなく、本当に存在しているかのような現実味がうまく小説の世界にスッと引き込んでくれます。
話の展開も小説ではなく、キレイ事でもなく、ドロドロとした現実なところもリアルです。それでいて最後は小説らしい展開を見せるところが凄い。
絶賛の言葉が付きませんが、とにかく一度読んでみてほしい作品です。もちろん当サイト管理人は、これから横山秀夫さんの作品をほかにも読んでいきますので、またレビューをアップしていきたいと思います。
(単行本:2002年12月/文庫本:2007年04月)

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我が家のヒミツ/奥田英朗

我が家のヒミツ/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星5つ

爽やかな読後感が最高!清涼剤のような短編小説

「我が家のヒミツ」は、身近にありそうな普通の家族の問題を爽やかなユーモアを交えながら描いた、奥田英朗さんの短編小説です。6つの短編小説が収録されています。
作品1つ1つに違った家族が登場し、それぞれにテーマがあり短編小説とは思えないほど完成度が高く、読み応えがあります。そして何よりもこの小説の魅力は、1つ1つの作品を読み終わった後の読後感です。
読み終わった後、力んでいた肩の力がすっと抜けて、前向きな気持ちさせてくれる読後感が最高です。ストレスや悩みで疲れた気持ちをちょっと楽にしてくれる、一種の清涼剤のような小説です。
「東野圭吾さんの次に読むなら・・・」という趣旨からすると少し外れた作品になるかもしれませんが、あまりにも読んだ後の爽快感が気持ちよかったので上位にランキングさせていただきました。
ギスギスした現代社会や人間関係に疲れやストレスを感じている方にぜひ読んでもらいたい作品です。少し楽な気持になれること間違いなしの作品です。
(単行本:2015年09月/文庫本:2018年06月)

「奥田英朗 我が家のヒミツ」を探す


慟哭/貫井徳郎

慟哭/貫井徳郎 文庫本 おすすめ度星4つ

結末が途中で分かっても最後まで面白く読めます。分かっていても最後の1行に衝撃を受ける作品です。

「慟哭」は1993年に刊行された貫井徳郎さんのデビュー作です。生身の人間の強さ、弱さ、優しさ、怖さを、デビュー作とは思えない完成度で見事にリアルに描いた小説です。
「慟哭」は推理小説ですが、残念なことに途中で犯人が分かってしまいます。しかし、この作品の秀逸なところは、犯人が分かった後もその予測が当たっていないことを祈りながら、興味が覚めてしまうことなく最後まで面白く読めてしまうことです。
その意外性がこの小説の魅力です。おそらく貫井徳郎さんは読者が犯人を推定してしまうことを分かりつつ作品を描いていると思います。ちなみに当サイト管理人は一般的な読者の方よりも遅いほうだと思いますが、ちょうど話の中盤で犯人が分かりました。
そして犯人が分かっているにも関わらず、ラストの1行にドキッとします。当サイト管理人は、犯人が分かっているのに肩がビクッとなりました。それがこの小説の凄さだと思います。
(単行本:1993年10月/文庫本:1999年03月)

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向田理髪店/奥田英朗

向田理髪店/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星4つ

北海道の過疎町というロケーション設定から、ついつい「北の国から」との共通点を探してしまう・・・

向田理髪店は、光文社が発行している小説誌「小説宝石」の2013年4月号から2016年2月号に掲載された6つの連作を収録した短編小説で、2022年10月公開、高橋克実さん主演で映画化されています。
かつては炭鉱で栄えたが、すっかり寂れて、高齢化と過疎化が年々進む北海道の町でのさまざまな騒動と人間模様を温かく人情とユーモアを交えて描いた作品です。・・・と小説の内容は裏書によるとこんな説明になります。

炭鉱の町、財政破綻や数々の箱物建設など、おそらく北海道夕張市をモチーフに描かれているのではないとか思いますが、もう少し刺激的な内容が好みな当サイト管理人は、正直なところ、それほど期待をせずに読み始めました。
いざ読み始めてみると、1つ1つの作品の完成度が高く、1作品が連続テレビドラマの1週分という感じでテンポよく、とても面白く読み進められます。
人情味溢れる人間模様を描きつつも、キレイごとだけではない人間臭い嫌な部分も、しっかり描いているリアリティのおかげで、白けず飽きずに読めます。それでも最後は気持ちよく、爽快な気分にしてくれるところもこの小説の魅力です。

北の国からを見て育った世代の当サイト管理人としては、北海道の田舎町というロケーション設定から「北の国から」との共通項を探してしまいましたが、北海道の過疎地という以外に意外と共通点は少なく、いい意味で期待を裏切られつつ、そのオリジナリティの高さも良かった点でした。
(単行本:2016年04月/文庫本:2018年12月)

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空白の叫び/貫井徳郎

空白の叫び/貫井徳郎 文庫本 おすすめ度星3.5個

総ページ数1200ページを超える長編大作を読ませる力とストーリー展開は圧巻

貫井徳郎さんの「空白の叫び」は、各巻400ページを超える上中下巻の三部作で、総ページ数1200ページを超える長編大作です。
刑罰ではなく教育を通じて更生させて、再犯を防ごうという考え方に基づく少年法を題材に扱ったミステリー小説です。
あまりのページ数に読み始めるのを躊躇しますが、いざ読み始めてみると、どんどんと読み進めていって気づいたら下巻の残り数十頁という感じで、貫井徳郎さんの読ませる力と飽きさせないストーリー展開は圧巻です。

「普通の中学生」が、なぜ人を殺したのか――。
小説は「胎動」「接触」「発動」の三部に分かれています。
第一部「胎動」では、生まれや境遇、性格も異なる3人の中学生がなぜ殺人者となったのかが描かれています。
第二部「接触」では、その3人が同じ少年院に収容されて出会い、過酷で陰湿な仕打ちで心が壊されて不思議な連帯感が生まれ、第三部「発動」では少年院を退院後、それぞれ自分の生活を取り戻そうとするが、周囲の目は冷たく、徐々に行き場をなくし、再び3人が出会う日が来ます。

第一部では人物や状況の描写が多く、少しダラダラとした感じになりますが、それが布石となって、第一部後半以降のスピード感は凄く、引き込まれ感が堪りません
生まれも育ちも性格も違う3人の少年の視点で描かれているので飽きさせず、次の展開が気になって、次々と読み進めて行けます。気づいたら下巻の後半に差し掛かっていました。

少し残念なポイントは、エンディングです。
これだけの「超」長編大作なので、それだけエンディングに期待が掛かる分、どうストーリーを完結させるか?「超」長編大作に見合うエンディングは難しいだろうと、読みながら【素人目線】で感じていました。
予想できないような大どんでん返しを心待ちにしていた当サイト管理人としてはちょっと期待外れというか、読んでいる途中で話の流れに気づいてしまったのが残念でした。あと泣けるエンディングも期待しましたが、これも当サイト管理人的にはなく残念でした。
エンディングのイマイチ感を差し引いても、ストーリー序盤から終盤までワクワクしながら、これだけのボリューム感のある作品を読めたので満足度は高かったです。
(単行本:2006年08月/文庫本:2010年06月)

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最悪/奥田英朗

最悪/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星3.5個

タイトルどおり読んでいて気持ちの良い作品ではないですが・・・どんどん深みにハマる感触がとにかく最悪です。

奥田英朗の「最悪」は、2000年の宝島社「このミステリーがすごい!」の第7位に入賞した作品です。
文庫本で600ページを超える長編大作で、手にして読み始めるのを躊躇(ため)うほどの本の厚みですが、実際に読み始めてみるとサクサク読めます。
最初、3人の登場人物のありふれた日常の生活、出来事が流れていきます。しかしながら3人各々が、ちょっとした転機、ふとした場面での行動や判断ひとつで、どんどん複雑に抜け出せない深みにハマっていきます。最悪です。
小説の世界なんですが自分自身にもあり得るな・・・と思えてしまうところが、この小説の魅力です。こんな風にならないように気を付けよう、心掛けようと思いました。
まるで3本の糸がおのおの絡まり、さらには3本の糸が複雑に解きようがないぐらい絡まり合ってしまい、最後には3本が解けて戻っていく。そんな感じの小説です。・・・余計に分かりにくいかな・・・(読んでみてくれた方のなかで共感していただけた方がいれば幸いです) 奥田英朗「最悪」のイメージ図 正直なところ読んでいて気持ちのいい作品ではありません。タイトルから分かるとおり、感動したい、清々しい気分になりたいと思って読む本ではありません。かなり話の設定に無理がある場面もありますが、どんどん読ませるストーリー展開と面白さがありました。

まるで映画、ドラマを見ているかのような小説

奥田英朗の「最悪」を読んでいて、映画、ドラマを見ているかのような錯覚に陥る作品でした。逆の言い方をすると、映画化、ドラマ化に向いている作品だろうと思いました。
実際に2005年に沢田研二さん主演でドラマ化されています。
遅ればせながら2020年に小説を読みながら、今、ドラマ化するならどんなキャスティングがイイかなと考えてみました。
あくまでも個人的な意見ですが、川谷信次郎役:寺島進さん、藤崎みどり役:志田未来さん、野村和也役:菅田 将暉さんがいいんじゃないかなと思いながら読みました。小説なのにリアルなシーンイメージが思い描けて、楽しい小説です。
(単行本:1999年02月/文庫本:2002年09月)

「奥田英朗 最悪」を探す


第三の時効/横山秀夫

第三の時効/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星3.5個

思わず声を上げてしまいそうな驚きの結末が連発!!

第三の時効は、2003年に刊行された「F県警強行犯シリーズ」の第1作目です。全6編が収録された連作短編集です。1つ1つの短編は独立したストーリーになっていますが、細かなところで話のつながりを持っています。
・沈黙のアリバイ
・第三の時効
・囚人のジレンマ
・密室の抜け穴
・ペルソナの微笑
・モノクロームの反転
と6つの短編が月間小説誌「小説すばる」に掲載された順に収められています。
なかでも「沈黙のアリバイ」と「第三の時効」がダントツにクオリティが高く、とにかく時間を忘れるほど、のめり込み、面白い。そして最後は、思わず「あっ!」と声が出てしまう種明かしが連発します。このスッキリ感が堪りません。

同じ作者とは思えないほど作品ごとにバラツキがあります。

最初の2作品が頭2つ、3つも抜けているので、その後の作品のどうも尻すぼみ感が否めない。「密室の抜け穴」でちょっと盛り返しますが、最後の「モノクロームの反転」は、どうした!?と言いたくなるほど手抜きな印象。なので★3.5個ですが、「沈黙のアリバイ」と「第三の時効」だけなら、間違いなく★5つの面白さです。この2作品だけでも是非とも読んでみてほしい1冊です。
(単行本:2003年02月/文庫本:2006年03月)

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夜想/貫井徳郎

夜想/貫井徳郎 文庫本 おすすめ度星3.5個

「慟哭」の先入観を捨てて読んでほしい。もう一つの名作

「夜想」は、貫井徳郎さんのデビュー作品でもある傑作「慟哭」で取り上げたテーマ<新興宗教>に再び挑んだ作品です。残酷な事故で妻と娘を失い、絶望のなか、ただただ惰性で生きる雪藤の前に現れた、特殊な力を持つ美少女、天美遥。彼女と出会ったことで雪藤の止まっていた時計が再び動き始める。
当サイト管理人は、「夜想」を読む前に「慟哭」を読んでいたため、「慟哭」の先入観を持ったまま、読み進めてしまいましたが、「慟哭」の先入観を持たずに読んだほうが小説が伝えたいことを素直に受け止められるように思いました。

終盤のトリックに一度ドキリとして、そして、もう一つのトリックにガッカリする

まったく異なる2つの話が同時進行する形でストーリーが展開されています。2つの話が交わった後の終盤のトリックには、背筋が寒くなるような感覚とともにドキリとさせられます。
その後、もう一つのトリックが準備されていますが、こちらは【素人目線】の当サイト管理人でも予測できてしまうようなトリックでちょっと興醒めします。ただ、それで終わりではなく、小説の結末が準備されているので、まぁご愛嬌かなと・・・

悲しみってのは絶対に乗り越えなきゃいけないものなのか・・・

悲しければ悲しいままでいてもいいじゃないのか、悲しいことや辛いことには立ち向かっていかなければならないように考えてしまう、それを克服して心の奥底にしまい込んでしまわないといけないと義務のように感じてしまう。でも本当はそんな必要はない。どうしても乗り越えられない悲しみもある。だったら無理に乗り越える必要はない。乗り越えられないことを恥に感じる必要なんてない。
筆者、貫井徳郎さんは、これを「夜想」を通じて一番、伝えたかったのではないかと思いました。
(単行本:2007年05月/文庫本:2009年11月)

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追憶のかけら/貫井徳郎

追憶のかけら/貫井徳郎 文庫本 おすすめ度星3.5個

読み始めに挫けなくて良かった面白い作品

「追憶のかけら」は・・・うだつが上がらない大学講師が棚ぼたで物故作家(亡くなった作家)の未発表手記を入手。名を上げるために物故作家の自殺の真相を究明するために調査をするなかで、得体の知れない悪意に飲み込まれていく・・・という長編ミステリ小説。
正直なところ、600頁を超える厚みのある小説なので読み始めるときに、なかなか手を出しにくい感じがありました。またようやく手にして読み始めると、数十頁で物故作家の未発表手記を読ませる場面があり、これが長い!(結局300頁近くもありました)しかも旧字体で書かれている!?これだけで、文学的な才能のない当サイト管理人は読むのを放棄しようと思いましたが、結果、途中で読むのを止めずに正解でした。
旧字体でしたが、文学的な才能のない当サイト管理人でも、あまり苦労せずに読み進めることが出来ました。しかも手記の内容が読み進めるほどに面白い!

二転三転、三転四転するストーリー展開で、最後の一行まで興味が途切れず読み切れるけれど・・・

本の厚みの威圧感と旧字体の文章に最初、怯んでしまいましたが、二転三転、三転四転するストーリー展開で、600頁以上の大作を最後まで飽きずに読み切れます。貫井徳郎さんらしくない意外な結末でしたが、最後の文章、最後の一行まで飽きずに読み切れました。
ただ残念だったのは、ネタバレになるため詳しくは書きませんが、どうも納得いかない、不自然なストーリー展開が随所随所にあるという違和感が面白く読み進めている間にもモヤモヤとして気になったことがマイナスポイントでした。
(単行本:2004年07月/文庫本:2008年07月)

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空中ブランコ/奥田英朗

空中ブランコ/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星3.5個

1話読むごとに肩の力が抜けて気持ちが楽になる不思議な小説

空中ブランコは、奥田英朗さんの「精神科医 伊良部シリーズ」の第二作目にあたる作品です。前作と同様に5つの短編から構成された短編集です。
精神科医 伊良部シリーズの一作目「イン・ザ・プール」は第127回 直木賞候補でしたが、「空中ブランコ」は第131回 直木賞を受賞しました。
さまざまな仕事、職業でストレスや悩みを抱えた人々が、主人公である精神科医師 伊良部一郎のもとを訪れて、伊良部一郎の型破りな治療(?)で患者のストレスや悩みを解決していくというストーリー・・・と基本的に一作目とほぼ変わらない、同じようなストーリー展開ですが、不思議なぐらい面白く読めます。
同じような展開だと分かっていても、悩みを抱える人々と自分との共通点を探り、奇妙な共感を感じながら、短編集なのでサクサクっとテンポよく最後まで読み切ってしまいます。
バリバリの娯楽小説なので文学的な価値はよく分かりませんが、素人目線でみてもなさそうですが、読んでいると、心の鎧を自然と脱ぎたくなり、肩の力がスッと抜けて気持ちが楽になる小説です。
一作目の「イン・ザ・プール」とあわせて、ストレスが溜まっている、ストレスを解消したいという方におすすめの小説です。

(単行本:2004年04月/文庫本:2008年01月)

「奥田英朗 空中ブランコ」を探す

直木賞とは?
「直木賞」は通称で、正しくは「直木三十五賞(なおきさんじゅうごしょう)」といいます。
無名・新人及び中堅作家による大衆小説作品に与えられる文学賞で、芥川賞と同様に日本文学振興会(公益財団法人)によって選考が行われて、賞が授与されます。
1935年に芥川賞(芥川龍之介賞)とともに創設されて、以降年2回発表されています。(第二次世界大戦中に一時中断の時期あり)
歴代の受賞作品には、東野圭吾「容疑者Xの献身」、池井戸潤「下町ロケット」などがあります。
対して、純文学作品に与えられる文学賞として「芥川龍之介賞」、通称「芥川賞」があります。

大衆小説とは?
「芸術性」よりも「娯楽性」に重きを置いている小説の総称です。逆に、純文学は大衆小説に対して「娯楽性」よりも「芸術性」に重きを置いている小説を意味します。

日本文学振興会とは?
(株)文藝春秋社内に事務所を置き、「文芸の向上顕揚を計ることを目的」として、芥川龍之介賞、直木三十五賞、菊池寛賞、大宅壮一ノンフィクション賞、松本清張賞の選考と授賞を行う公益財団法人です。


真相/横山秀夫

真相/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星3.5個

「横山秀夫作品=警察小説」というイメージをいい意味で見事に裏切ってくれた作品

横山秀夫さんの「真相」は、事件の奥に隠された個人対個人の物語を描いた小説5編を収めた短編小説集です。主人公は警察関係者ではなく、息子を殺された男であったり、絶対に当選しなければならない理由を背負って選挙に出馬する男であったり、5編おのおのが独立した物語になっています。
短編小説とは思えないしっかりとした読み応えがあり、先の読めないドキドキ感と、結末のどんでん返しもセットで楽しめる、粒ぞろいな短編集で、「横山秀夫作品=警察小説」という固定概念をいい意味で見事に裏切ってくれた作品です。
「真相」には本の題名にもなっている「真相」のほか「18番ホール」「不眠」「花輪の海」「他人の家」といった5作品が収められていますが、当サイト管理人の【素人目線】では「花輪の海」は今一つ盛り上がりに欠けましたが、それ以外の4作品は最初から最後まで、めちゃくちゃ面白く読めました。
(単行本:2003年05月/文庫本:2006年10月)

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イン・ザ・プール/奥田英朗

イン・ザ・プール/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星3.5個

肩の荷がちょっと軽くなる、清涼剤のような娯楽小説

イン・ザ・プールは、奥田英朗さんの「精神科医 伊良部シリーズ」の第一作目にあたる作品です。第127回直木賞候補になりました。5つの短編から構成された小説になっています。
現代社会でのストレスや悩みを抱えた人々が、主人公である精神科医師 伊良部一郎のもとを訪れて、伊良部一郎の型破りな治療(?)で患者のストレスや悩みを解決していくというストーリーです。
一見ワンパターンとも思えるストーリー展開ですが、伊良部一郎のもとを訪れる患者のストレスや悩みに共感できる部分があり、どうやってそれを解決していくのかというのが気になって面白く読めます。
また羨ましいぐらい自由で破天荒な主人公 伊良部一郎の素直で直感的な行動や発言は、現代社会のしがらみや人間関係のなかで生活している当サイト管理人にとっては爽快感があり、思わずニヤリと(失笑)してしまいます。本当に憎めないキャラクターです。
医学や医療においてはずぶの素人なので、これが本当に治療になるのか分かりませんが、読んでいると少し気持ちが楽になる、清涼剤ような小説です。
(文庫本:2006年03月)

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灰色の虹/貫井徳郎

灰色の虹/貫井徳郎 文庫本 おすすめ度星3.5個

冤罪、冤罪が生み出す不幸の連鎖を改めて考えさせられる問題作だが・・・

「灰色の虹」は2010年に刊行された貫井徳郎さんの長編推理小説です。身に覚えのない上司殺しの罪を課された、気弱でおとなしい若者、江木雅史。その冤罪により、彼自身の人生だけでなく、両親、姉、恋人の日常生活が奪われてしまう様子がリアルに描かれている。
新聞やテレビで冤罪という文字を目にしたことはあるが、それがどう生み出されて、どう作り上げられて、どう捏造されていくのか具体的に描かれています。
犯罪を犯した者がその本人だけでなく、家族や関係者の生活までもを狂わせてしまうというのはよく目にしたり聞いたりする話だが、何の罪も犯していない冤罪によって、本人、家族、恋人の生活がめちゃくちゃになるのは耐えがたいものがあります。
あまりにも現実味があるので、もし自分に同じことが起こったらどうしようという恐怖心すら覚えながら、ドキドキして読み進められます。700ページ以上ある長編小説なので、最初は手に取るのに気が引けますが、その何とも言えないドキドキ感を持ちながら、700ページのボリュームを感じないぐらいのスピードでどんどん読めてしまいます。
しかし600数十ページに差し掛かったあたりで、残念ながら話の展開が見えてしまいます。それでも、その予想が外れてくれることやさらに一押しある話の展開を期待しながら読み切るのですが、ほぼ思った通りの結末を迎えてしまうところがとても残念なポイントでした。
600数十ページ、ドキドキしながら読ませてくれたので、最後にもう一押し、ガツンとあれば最高だったのになぁと思わせる作品でした。
(単行本:2010年10月/文庫本:2013年10月)

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我が家の問題/奥田英朗

我が家の問題/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星3.5個

完成度の高い、粒ぞろいの6作品だけど好き嫌いが分かれる!?

「我が家の問題」は、20007年に刊行された「家日和」に続く、「家族小説」シリーズの第二弾です。
思わず微笑んだり、グッと胸が熱くなりホロリと泣ける短編小説6作品が収録されています。
どの小説も短編小説とは思えないほど完成度が高く、読み応えがあります。
すべての小説が家族に関わる内容になっていますが、家族構成や扱うテーマが異なるため、飽きずにどんどん読めます。
逆に短編小説ごとに取り上げているテーマが違うので、読み手の家族環境やその時の家族状況によって、好き嫌いが分かれたり、思い入れがしやすかったりしにくかったりするかもしれません。
ちなみに当サイト管理人は、「里帰り」と「妻とマラソン」がおすすめです。特に「妻とマラソン」のエンディングは泣けます
(単行本:2011年07月/文庫本:2014年06月)

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失踪症候群/貫井徳郎

失踪症候群/貫井徳郎 文庫本 おすすめ度星3.5個

貫井徳郎さんの読ませる力を感じる面白い小説!それだけに結末の尻すぼみな拍子抜け感だけが残念。。

失踪症候群は、貫井徳郎さんの推理小説「症候群シリーズ」の第一弾です。
警視庁人事二課に身をおく、環敬吾が率いる、特殊任務チームが、警視庁が表立って動けない事件を、時には超法規的手段を使ってでも解決に導くという小説。
私立探偵、托鉢僧(たくはつそう)、肉体労働者のメンバーで構成されるという特殊任務チームという設定は古典的ですが、話の振り幅を持たせやすくシンプルに興味を引きます。
ストーリーの展開が単純なので、読んでいる途中で何回か、その先の話の展開が読めてしまいますが、不思議なことに先が読めてからも、話が二転三転することで興醒めすることなくどんどん読み進められます。貫井徳郎さんの読ませる力を感じる面白い小説です。
残念だったのは結末です。どうも尻すぼみな結末で拍子抜けした感じで読み終わったのは残念でした。
ただ本当に最後の最後まで面白く読めるので、ほかの「症候群シリーズ」の作品(誘拐症候群、殺人症候群)も読みたいと思わせる、おすすめの小説です。
(単行本:1995年11月/文庫本:1998年03月)

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家日和/奥田英朗

家日和/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星3.5個

読み終わった後、少し明るい気持ちやちょっと前向きな気持ちにさせてくれる作品

家日和は、奥田英朗さんの家族小説シリーズの第1弾です。集英社が出版する月刊小説誌「小説すばる」の2004年9月号から2006年12月号に掲載された短編小説が6作品収められています。2007年に刊行されて、第20回柴田錬三郎賞を受賞した作品です。

何気ない日常の出来事やハプニングを描いた作品で、どの作品もほのぼのとしていて、読み終わった後に、少し明るい気持ちちょっと前向きな気持ちにさせてくれる作品ばかりです。嘘臭さや作り話っぽさがなく、リアリティのある家族のきずなや優しさをほっこりと感じさせてくれる作品が収められていて、おすすめです。
冷静に考えると重たくなりそうなテーマ題材も軽~いタッチで描かれているので、サクサクっと読み終わってしまいます。逆に言えば、共感を持てない題材の作品だと、何も感じることなく読み終わってしまうので、収められている6作品のなかでも優劣が大きく分かれると思います。
当サイト管理人の独断と偏見だと、収録6作品の評価は
サニーデイ・・・○
ここが青山(せいざん)・・・◎
家(うち)においでよ・・・○
グレープフルーツ・モンスター・・・△
夫とカーテン・・・〇
妻と玄米御飯・・・×
という感じで、おそらく読んだ人の嗜好やその時の状況によって、わりと評価の善し悪しが分かれそうな短編が収録された作品です。
(単行本:2007年04月/文庫本:2010年05月)

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無理/奥田英朗

無理/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星3.5個

エンディングの捉え方一つで評価が大きく分かれる作品

出口のないこの社会で、彼らに未来は開けるのか。
「無理」は、合併でできた地方都市、ゆめので暮らす、年代も職業も違う訳アリの5人を登場人物とした、奥田英朗さんが得意とする群像劇です。
ケースワーカー、高校2年生、セールスマン、市議会議員、スーパーの保安員という、登場人物5人の設定がとにかく絶妙、本当に実在していそうな人物像が小説に強力なリアリティを持たせています。

登場人物5人の各々のありふれた平凡な日常が、ひょんなことから崩壊して有り得ない状況へハマり込んでいきます。普通なら違和感を感じてしまいそうな、このあり得ない展開が奥田英朗さんの巧妙な文章力によって、うまく描かれています。
上下巻合わせて700ページを超える長編小説ですが、とにかく話の展開がテンポ良く、飽きずに面白さを維持したまま、最後まで読み切れます。

残念だった点は、エンディング。あまり書きすぎるとネタバレになるので詳しくは書きませんが、【素人目線】の当サイト管理人としては、好きな結末ではありませんでした。
また「これで終わり!?」という、ちょっと尻切れトンボな印象も残しました。逆に言うと、エンディングの捉え方で大きく評価の変わる作品とも言えそうです。
(単行本:2009年09月/文庫本:2012年06月)

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ララピポ/奥田英朗

ララピポ/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星3.5個

どんどんクセになる、現代日本のぶっ壊れた、ぶっ飛んだ6人の日常を描いた下流小説

現代日本のぶっ壊れた6人の日常?を描いた小説。一見、短編のように思いますが、1つ1つの話が繋がっていきます。確かに後ろ書きには、「格差社会をも笑い飛ばす六人の、どうにもならない日常を活写する群像長篇」とありました。こう表現すると、ありきたりな小説のように思えますが、「ララピポ」は、とにかくぶっ飛んでいます。そして感想を表現しづらい小説です。
推理小説、SF小説、ホラー、ファンタジー、恋愛、青春、歴史、経済、官能・・・・・いろいろな小説のジャンルがありますが、ララピポは、何のジャンルに属す小説と言えばよいのか。。これまた後ろ書きに「下流小説」とありますが、まさに下流小説と呼ぶのが一番ピッタリくるように思います。

ぜひ1章目が肌に合わない方も我慢して2章目、3章目ぐらいまでは読んでみてください。

読み始めて1章目から、エロ描写があまりにも多く、正直、これはキツイなと思いました。
この調子でずっと続くことはないだろう、続くなら読むのをあきらめようと思いながら、2章目、3章目と読み進めると、ずっとエロ描写は相変わらず続きますが、エロ描写に慣れるのと反比例して、どんどん面白くなってきます。5章、6章あたりになると次にどう繋がるのか気になって止められなくなります。
登場する人物はごく普通の生活を送っている人からすれば、かなりぶっ壊れた人たちです。でも実在しそうな人たちが登場します。書かれている内容はスッカスカなんですが、共感できないけれど何か考えさせられる、現代日本を痛烈に風刺する側面をもった「下流小説の白眉」です。
エロ描写が多すぎるので、マイナス0.5★ですが、逆に少ないと「ララピポ」じゃなくなる気もしますが・・・
奥田英朗さんのほかの作品も読んでみようと思います。
(単行本:2005年09月/文庫本:2008年08月)

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