【素人目線で】東野圭吾の次に読むならこの作者・小説!おすすめ順で紹介(3)
東野圭吾さんの作品が好きな方が次に読むならこの作家!この小説!というテーマでおすすめ順で紹介。東野圭吾さんの次に読む作家を探すために読み漁ったいろいろな作家、小説をレビューします。
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悪党たちは千里を走る/貫井徳郎

面白いけど、リアリティと緊張感がいまひとつ足りないのと・・・
「悪党たちは千里を走る」は、貫井徳郎さんの作品では珍しいクライム・コメディ路線の作品です。キャッチコピーでは、ユーモアミステリの傑作となっています。正直なところ、当サイト管理人は好みの作品ではないなぁと思いながら、マイナススタートから読み始めました。
詐欺師コンビの高杉と園部が、仕事先、つまりは詐欺現場で美人同業者(美人詐欺師)と出会い、手を組むという序盤の展開は、ありがちですが、その後のストーリー展開に期待を持ちながら、読み進めました。
テンポよく話が進んでいくので、面白く飽きずに読めましたが、すべての登場人物を個性的に描こうとするがあまり、リアリティに欠ける印象があります。また登場人物の胸中を文章にしすぎていて、分かりやすく、読みやすくはあるのですが、いまひとつ緊張感が無いように感じました。
種明しは、ちょっと無理があり、ネタバレになるので詳しくは書きませんが、矛盾があり、うまく伏線回収できていないと思います。
テンポよく、そこそこ面白く読めるけど、緊張感のある没入感や、アッと驚くようなトリックはない、という感じです。
(単行本:2005年09月/文庫本:2008年09月)
「貫井徳郎 悪党たちは千里を走る」を探す
震度0(ゼロ)/横山秀夫

半沢直樹と対極を行く作品。これが現実だとは思いたくない作品。
阪神大震災の前日、突然姿を消したN県警警務課長を巡って、キャリア組、準キャリア組、叩き上げのノンキャリア組の間で複雑に交錯する駆け引き、組織と個人の本質を鋭く描いた、横山秀夫さんの本格警察サスペンス小説です。
登場する大半の人物が自己保身、自己愛、自己防衛、自己正当化、自己弁護のために思考、発言、行動する泥沼のストーリー。池井戸潤さんの半沢直樹シリーズとは、完全に対極をいく作品になっていて、どこまで真実味があるのか分かりませんが、実際の警察がこんな姿であってほしくないと思うような内容です。
小説としては、部分部分の駆け引きや話の展開を取り上げると面白いのですが、全体を通してみると正直、いま一つ盛り上がりに欠けます。ちまちまストーリーが進んでいく感じで、グイグイと話の世界に引き込まれるような感覚がまったくありません。
唯一、感情移入ができそうな人物が、準キャリア組の堀川警備部長なのですが、登場シーンが短く、また話の中心になることも少なく、気持ちが入っていきにくいストーリー展開です。
阪神大震災の前日という設定も単に震度0(ゼロ)と言いたいだけのように思えて、無理矢理感が否めません。盛り上がりに欠ける震度0(ゼロ)の展開ではなく、ダイナミックな話の展開があったほうが良かったのではと思いました。
横山秀夫さんの作品は面白い作品が多いだけに期待も大きく、ちょっと裏切られた印象の作品でした。次に期待です。
(単行本:2005年07月/文庫本:2008年04月)
「横山秀夫 震度0(ゼロ)」を探す
64(ロクヨン)/横山秀夫

事前の期待感が大きかった分を差し引いても、いま一つ
「64(ロクヨン)」はテレビドラマ化、映画化もされた、横山秀夫さんの推理小説です。文庫本では上下巻に分かれていて、総ページ数が780頁もある長編作品です。
「陰の季節」「動機」「顔(FACE)」に続く、D県警シリーズの4作品目で、映画では、キャッチコピー「日本映画史に残る傑作の誕生」のもと、主演、佐藤浩市さんをはじめ、三浦友和さん、椎名桔平さん、奥田英二さん、綾野剛さんと書か切れないほどの豪華キャストで前編、後編の二部作で全国放映されたので、言わずもがな期待を持って読み始めました。
しかし、まったく読み進めませんでした。特に前編は話の展開が少なく、同じような心理描写が繰り返されて飽き飽きとしました。刑事部と警務部の確執、対立、いがみ合い、警察組織の内情に興味がある方には面白く読めるのかもしれませんが、興味のない当サイト管理人にとってはつまらなく、毎日本を手に取るものの数ページ読んでは飽きてしまい、上巻を読み終わるのにめちゃくちゃ時間が掛かりました。
下巻は予想していなかった話の展開で引き込まれる場面もありましたが、結末にはどうも腑に落ちない箇所があり、違和感を抱えたまま読み終わったという印象です。無理矢理、上下巻に分けた??という感じで、もう少しコンパクトにまとまっていたら、スピード感をもって読み進められたのかなと思いました。
(単行本:2012年10月/文庫本:2015年02月)
「横山秀夫 64(ロクヨン)」を探す
月と蟹/道尾秀介

小学生の複雑な心の内が見事に描かれた小説。だけど・・・
道尾秀介さんの「月と蟹」は2010年に刊行されて、第144回 直木賞を受賞した作品です。
小学生である慎一と春也の純粋で、真っ直ぐで、もろくて、強くて、優しくて、残酷で、複雑な思春期の少年の気持ちが見事に描かれています。海辺沿いや山並みの景色や自然の描写も目に浮かぶようなリアリティがあります。
慎一と春也の無邪気で残酷な儀式ごっこに、母親のいない、同級生の鳴海が加わることで、三人の関係は理屈で説明のつかない予測不能な揺らぎを見せます。
「大人になるのって、ほんと難しいよね」
と思わず、呟いたとおり、思春期を過ごしてきた多くの読者の方が共感しそうな心の描写が連発します。
心の描写や風景の描き方など、すごく上手いのですが、何か物足りない。
どこか現実離れ、イマ一つリアリティが足りない。文章は上手いけれど、鬼気迫る迫力がなく、すごく中途半端な印象が残る作品でした。文章がやたらと上手いだけに勿体ないと思ってしまう作品です。
道尾秀介さんの「向日葵の咲かない夏」よりはおすすめですが、次にまた道尾秀介さんの作品を読みたいかというと二の足を踏む感じです。
(単行本:2010年09月/文庫本:2013年07月)
「道尾秀介 月と蟹」を探す
顔 FACE/横山秀夫

面白い、トリック、からくりも意外性があって面白い、でも今一つ何かが足りない。
「顔 FACE」は似顔絵婦警、平野瑞穂が主人公の警察小説です。5つの短編小説で構成されています。小説全体としては繋がりはありますが、短編の一話一話でストーリーが完結するので、テンポ良く読めます。
一話目「魔女狩り」は正直、面白くありませんでした。我慢して二話目にたどり着きました。二話目「訣別の春」以降、面白く読めました。二話から五話まで面白く読めて、ストーリーのトリック、からくりも意外性があって面白い!
短編一つ一つの終わり方が余韻を残す感じでとても良いんですが、どの短編も何かイマ一つ物足りないんですね。
婦警さんに憧れて婦警さんになった、主人公のバックボーンがどうも軽く感じられて、小説に重み、深みがでず、小説の世界に引き込まれる感覚がありませんでした。ストーリーはとても面白かったので、もっと主人公の背景設定に影があれば、グッとくるものがあったのかなと思います。
(単行本:2002年10月/文庫本:2005年04月)
「横山秀夫 顔 FACE」を探す
勁草/黒川博行

オレオレ詐欺ドラマのシナリオを読んでいるみたい
「勁草」はオレオレ詐欺をメイン題材とした犯罪サスペンス小説で、2014年に「破門」で直木賞を受賞した黒川博行さんが翌年2015年に刊行した作品です。
小説はオレオレ詐欺の掛け子、受け子と被害者とのやり取りのシーンから始まります。オレオレ詐欺の犯人と警察との息を飲む駆け引きが面白く一気に引き込まれます。
作者の黒川博行さんが入念に下調べをしているのだと思いますが、その後もリアルなオレオレ詐欺の描写が続きます。新聞やニュースなどで見聞きする内容からは想像できないほどオレオレ詐欺の犯人が小賢しく慎重なことに驚きます。
文章は読みやすくストーリーも巧みに展開していくので、500頁以上の厚みも気にならずドンドン読み進めていけるのですが、登場人物に感情移入することもなく、話に引き込まれることもなく、ドラマの粗筋を追ってシナリオをひたすら読んでいる感じで、序盤で期待したようなドキドキ感やハラハラ感がまったくありませんでした。
最後のどんでん返しに期待したけど・・・
最後、逃げる犯人を追う刑事たち、焦らす展開に、あっ!と驚くような想像もしなかったような大どんでん返しを期待しましたが、えっ!終わり!?というような尻すぼみな結末で、えっ!?と驚くような肩透かしを食らいました。500頁以上も読んできて、これは無いだろうと・・・
黒川博行さんの小説は初めて読みましたが、次に直木賞を受賞した「破門」を読んでみて面白くなかったら、その次は無いですね。
(単行本:2015年06月/文庫本:2017年12月)
「黒川博行 勁草」を探す
動機/横山秀夫

柳の下の二匹目の泥鰌を狙うが・・・優劣の差が激しい短編集
横山秀夫さんの「動機」は、第53回日本推理作家協会賞を受賞した表題作「動機」を含む4つの作品が収録された短編推理小説です。
「動機」「逆転の夏」「ネタ元」「密室の人」それぞれ主人公が「刑事」「前科を持つ男」「女性記者」「裁判官」と切り替わるので、飽きずにテンポよく読めます。
一作目に収録されている「動機」はベタな表現ですが、ハラハラドキドキの展開から最後、予想外のどんでん返しで、短編小説とは思えない読み応えがあります。予想できそうな結末でありながら予想を裏切るという面白さがあります。
二作目の「逆転の夏」も緊張感のあるストーリー展開とアッ!と驚く結末で面白いのは面白いのですが、予定の結末に合わせて話が作り込まれた感じが拭えない点がマイナスポイントです。
三作目、四作目の「ネタ元」「密室の人」も「動機」と同じくアッ!と驚くような、どんでん返しの結末を狙ったのだと思いますが、「動機」や「逆転の夏」と違って、ストーリーや人物像がスッと入ってこない読みづらい印象で、結末も狙った感をすごく感じてしまいイマ一つでした。
(単行本:2000年10月/文庫本:2002年11月)
「横山秀夫 動機」を探す
泳いで帰れ/奥田英朗

最初から最後まで「奥田節」全開の旅行・観戦記・・・くだらないのに面白い、とにかく肩肘張らず、気楽に読めます
奥田英朗さんの「泳いで帰れ」は、2004年にギリシャの首都アテネで開催された第28回 夏季オリンピックの旅行・観戦記です。アテネで開催されるのは、1896年の第1回大会以来、108年ぶりの2回目になります。
いざ読み始めてみると、内容は100%、奥田英朗さんが思ったこと、感じたことを自由気まま、好き勝手に書いた私的な日記(エッセイ?)です。
面白いことは面白い!つまらないことはつまらない!旨いものは旨い!不味いものは不味い!共感や感動を得ようとして無理に盛り上げようともせず、世間・世論に迎合せず、ただただひたすら、思ったこと、感じたことを等身大で表現する「奥田節」が綴られています。
それが本になって売れるって、小説家って気楽な稼業だなぁ・・・身勝手に思う反面、その200ページ以上もの私的な日記を最後まで飽きずに退屈させずに読ませる力に敬服しました。くだらないのに面白い、まさにそんな感じでした。
「思い切って出かけると、・・・悔しいことに、行って損をしたと思ったことがない。きっと旅とはそういうものなのだろう。」(裏表紙・本文より)
当サイト管理人も奥田英朗さんに負けず劣らず、出不精なんですが、このフレーズ、旅行をうまいこと表現するなぁ・・・と、同感です。
「泳いで帰れ」(小説題名より)
激熱の奥田英朗流の野球論、詳細はネタバレにな野球をこよなく愛する奥田英朗さんだからこそ、発せられたエール・激励るので触れませんが、、そう捉えました。
なるほど「泳いで帰れ」を題名にした理由が分かりました。やっぱり最初から最後まで私的な日記(エッセイ?)でした。それでも、これはこれで面白い、そんな作品でした。
(単行本:2004年11月/文庫本:2008年07月)
「奥田英朗 泳いで帰れ」を探す
誘拐症候群/貫井徳郎

話の展開が気になってドンドン読んでしまう。だけど終盤が・・・
貫井徳郎さんの「誘拐症候群」は「症候群シリーズ」第2弾の作品です。
ネット上で「ジーニアス」と自ら「天才」を名乗る犯人が企てる連続誘拐事件。しかもその誘拐人は、数百万程度の身代金を払えば子供が無事帰ってくるため、泣き寝入りのケースが多く、警察は誘拐があったことに気づかないというもの。1998年に刊行された作品ですが、2023年に流行った闇バイトを予見させるような内容も含まれていて、貫井徳郎さんの先見の明を感じられる作品でもあります。
ページを繰る手がとまらない、面白さ抜群の「症候群シリーズ」第2弾という触れ込みどおり、ストーリー設定の面白さと相まって、話の次の展開が気になってドンドンと読み進めてしまいます。
小説終盤に入るまではとにかく面白いのですが、終盤がイマイチ、ネタばれになるので詳しくは書けませんが、いろいろな意味で良くないです。
辻褄を合わせた強引な話の終わらせ方で、リアリティがないのでハラハラ感もドキドキ感も感じられませんでした。いくら小説でもそうしてしまうと・・・ちょっとという印象でした。
(単行本:1998年03月/文庫本:2001年05月)
「貫井徳郎 誘拐症候群」を探す
どちらとも言えません/奥田英朗

スポーツ好きの人も、そうじゃない人も、楽しく読める、楽しさが伝わってくるエッセイ集
奥田英朗さんの「どちらとも言えません」は、プロ野球に、大相撲、サッカーからオリンピックまで、スポーツについて、好き放題、勝手気ままに、真面目にふざけた奥田節を綴ったエッセイ集です。全30作品、5~6ページの短編なので、肩肘張らず、気楽に読み進められます。
とにかく真面目に、トコトンふざけたエッセイ・・・というよりも奥田英朗さんの渾身のヤジが全30作品のなかで連発します。それでいて、奥田英朗さんのスポーツへの造詣の深さを感じさせる考え方や視点が時折、垣間見られる作品です。
当サイト管理人自身、スポーツをやらないし、それほどスポーツに興味があるタイプではないですが、短編作品で次々とテーマが変わり、テンポよく読めるので、面白く読み切れることが出来ました。
読み終わった後、何か残るかと言われると、何も残らないかもしれませんが、「スポーツはやって楽しく、観て楽しく、そして語ってこそ楽しい!」という言葉どおり、楽しく読めて、奥田英朗さんが楽しんでいるのが伝わってくる、そんなエッセイ集でした。
(単行本:2011年10月/文庫本:2014年04月)
「奥田英朗 どちらとも言えません」を探す
臨場/横山秀夫

スタートダッシュで期待したが・・・急激な失速でガッカリした作品
「臨場」は「終身検視官」の異名をとる警察官、倉石義男が主人公の短編小説が8編収められた作品です。臨場とは警察組織において事件現場に臨み、初動捜査にあたることを意味します。
1つ目に収録されている作品「赤い名刺」はおすすめです。ギリギリ現実的にあり得そうなストーリー設定で短編小説にもかかわらず人物像がリアルに描かれています。伏線も用意周到で犯人が明らかになる結末は、驚きと意外性がありつつ、鮮やかに「やられた」という心地よさがあります。
赤い名刺がこれほど秀作なのに、それに続く7作品があまりにも凡作です。せっかくの個性的な主人公、倉石義男を活かし切れておらず、尖がったパーソナリティを台無しにしてしまっている印象を受けました。
また各作品のテーマが絞り切れておらずブレブレで、何を伝えたいのかよく分かりません。トリックなのか、ミステリーなのか、感動ものなのか。短編小説であまりにも欲張ってしまうと、こうなってしまうという印象です。
出だしの「赤い名刺」があまりにも良い作品だけに残念な1冊です。
(単行本:2004年04月/文庫本:2007年09月)
「横山秀夫 臨場」を探す
影踏み/横山秀夫

警察小説を得意とする横山秀夫さんの泥棒目線の小説というのは新鮮だが、期待外れなポイントが・・・
「影踏み」は、ノビ師と呼ばれる忍び込みプロ、真壁修一を主人公に描いた7つの短編小説から構成されるミステリー短編集です。警察小説を得意とする横山秀夫さんとしては、警察側ではなく泥棒という逆の視点から描かれた作品になっています。
横山秀夫さんの作品はとても面白く、「半落ち」を読んでからは全作品を読破しようと思っているのですが、結論から言いますと「影踏み」は外れでした。
ポイントは3つ。1つは、SFチックなところ。もともと現実味のないSF小説は好みではなく、焼死した双子の弟が主人公、修一の中耳から話しかけてくるのはどうも違和感があり、受け入れられませんでした。
もう1つは、主人公の真壁修一がピンチな場面でもたぶん大丈夫なんだろうと思わせてしまったところ。もちろん主人公なので、途中で居なくなることは無いだろうと思っていても、そういった安心感を感じてしまうとハラハラドキドキ感が無くなり興醒めしてしまいます。
最後の1つは、各短編ごとにアッと驚かせよう、どんでん返しを狙った結末が用意されているのですが、どれも分かりづらい。当サイト管理人の読解力の問題もあるかもしれませんが、分かりづらい結末だと「どういうこと!?」っていう気持ちが先行して「アッ!」とも思わないし、爽快感がない。
ただし唯一、7つの短編の第5話「使徒」だけは別格に面白かったです。衝撃的な結末と涙無しでは読めない感動ものです。連作になっているので、ストーリーが分かりづらい点もありますが、この「使徒」だけでも読んでほしいと思うぐらい、おすすめの作品です。
(単行本:2003年11月/文庫本:2007年02月)
「横山秀夫 影踏み」を探す
プリズム/貫井徳郎

面白く読み進められるが・・・結末はあまりにもモヤモヤする
貫井徳郎さんの「プリズム」は、裏表紙のあらすじを引用すると、
・平凡だったはずの小学校の女性教師が自宅で死体となって発見。
・死体の傍らには命を奪ったアンティーク時計が。
・ガラス切りを使って外された窓の鍵。
・遺体からは睡眠薬が検出されて。
・部屋には睡眠薬が混入された箱詰めのチョコレート。
・浮かび上がる容疑者、、事件か?事故か?
と面白い要素が満載です。
話の展開や登場人物の行動動機に多少の違和感を感じつつも、とても面白く読めます。大きく4章に分かれていて、それぞれの章で視点が入れ替わるので中だるみすることなく飽きずに読み進められます。
しかし、結末があまりにもモヤモヤします。結果よりも推理の過程を楽しむ小説と言ってしまえばそれまでだが、それにしてもモヤモヤする。
(単行本:1999年10月/文庫本:2003年01月)
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出口のない海/横山秀夫

横山秀夫さんらしい作品ではなく、それでいて・・・
出口のない海は、第二次世界大戦 太平洋戦争で大日本帝国海軍が開発した日本軍初の特攻兵器である人間魚雷「回天」への搭乗を決意した若者たちを描いた戦争青春小説です。
なぜ回天への搭乗を決意したのか。命の重みとは、青春の哀しみとは―――。
横山秀夫さんらしい警察官や新聞記者などを題材にしたミステリ小説とは違う一風変わった作品で、読み始めから意表を突かれます。
戦争、しかも特攻兵器「回天」を題材にしているので、重厚なストーリー展開を期待したのですが、期待とは異なり、どこか軽さとこじんまりとした感じがあって没入感にか欠ける内容でした。
生死の狭間にいるはずの登場人物の緊張感がいまひとつ伝わりづらく、思い入れが出来なかったのも残念な点でした。
(単行本:2004年08月/文庫本:2006年07月)
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13階段/高野和明

想像を遥かに超える犯罪者と犯罪者の家族、関係者の現実を痛いほど深く考えさせられる作品ですが・・・
13階段は、2001年に刊行された長編ミステリー小説です。高野和明のデビュー作で、第47回江戸川乱歩賞を受賞しました。
死刑、冤罪(えん罪)、司法制度、刑務所での苦悩、出所後の苦悩といった重厚かつ濃厚なテーマを扱った作品で、想像を遥かに超える犯罪者と犯罪者の家族、関係者の現実を痛いほど深く考えさせられる作品です。
・・・と序盤は感じながら読み進めていましたが、仮釈放された服役囚 三上純一と定年間近の刑務官 南郷正二が犯行前後の記憶を失った死刑囚 樹原亮の調査を開始したあたりから、ストーリー展開に違和感を感じ始めました。
さらに話が進むと、いくら何でも警察が調べているだろうということを素人の二人の調査で新しい事実が判明して話が進展したりと、リアリティを無視して作り手の都合に合わせた、かなり強引な話の持って行き方です。テーマはとても良いのに、せっかくのテーマが台無しのストーリー構成という印象です。
江戸川乱歩賞を選考委員の満場一致で受賞したとか、乱歩賞受賞作品の中でもっとも速く高い売り上げ記録(40万部)を達成したとか、いろいろと評価、評判の良い作品ですが、当サイト管理人的には、なぜそんなに評価が高いのか分からない、いまひとつな作品でした。
(単行本:2001年08月/文庫本:2004年08月)
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コンビニ人間/村田沙耶香

ちょっとヤバい人物像を作ろうとしているけど実際に居そうな現代の若者の日常を描いた作品
「コンビニ人間」は2016年に芥川賞を受賞した、村上沙耶香さんの作品で、米国・英国で出版された、ほか20を超える言語に翻訳されています。
社会にうまく適合できない、アスペルガー症候群とも思える主人公、古倉恵子さんがコンビニバイトで働く生活を描いた小説です。
幼児期の奇怪な行動や機械的な受け答えなどを連呼して、1980年生まれ、36歳の主人公が特異な存在であることを表現したいのかもしれませんが、実際にはそれほど稀ではない若者、中年の日常の姿を描いた作品です。
芥川賞を受賞したということから期待を持って読み始めました。
150頁ほどの短編小説で読みやすい平易な文章なので、あっさり読み終わりましたが、街に溢れかえるほどではないにしろ「まあこういう人、いるよね」というぐらいの若者、中年のバイト生活を書き綴った作品で何を伝えたいのかが分かりませんでした。
社会にうまく適合できない36歳の独身女性として描かれている主人公の古倉恵子さんですが、きっちりとコンビニバイトの仕事をこなしているし、物事をある意味、冷静に見れている面もあり、特異性のある人物とは思えませんでした。一部変わったところがあるのは、どんな人でもあることだろうと思います。
そんな特段変わったところのない人物が送る、特段変わったことのない日常を描いているので、何かを伝えるのは非常に難しい作品だと思います。
一体どういう理由で芥川賞を取ったんだろうか?と疑問の残る一作でした。
(単行本:2016年07月/文庫本:2018年09月)
「村田沙耶香 コンビニ人間」を探す
芥川賞とは?
「芥川賞」は通称で、正しくは「芥川龍之介賞」といいます。
純文学の新人に与えられる文学賞で、日本文学振興会(公益財団法人)によって選考が行われて、賞が授与されます。
歴代受賞には、村上龍「限りなく透明に近いブルー」や又吉直樹「火花」があります。
対して、大衆小説作品に与えられる文学賞として「直木三十五賞(なおきさんじゅうごしょう)」、通称「直木賞」があります。
純文学とは?
純文学とは「娯楽性」よりも「芸術性」に重きを置いている小説の総称です。逆に、大衆小説は「芸術性」よりも「娯楽性」に重きを置いている小説を意味します。
日本文学振興会とは?
(株)文藝春秋社内に事務所を置き、「文芸の向上顕揚を計ることを目的」として、芥川龍之介賞、直木三十五賞、菊池寛賞、大宅壮一ノンフィクション賞、松本清張賞の選考と授賞を行う公益財団法人です。
被害者は誰?/貫井徳郎

サクサクっと面白く読める短編推理小説だが、タッチが軽すぎて緊張感に欠けます
「被害者は誰?」は、頭脳も美貌も態度も規格外のミステリー作家、吉祥院慶彦が事件の謎を解き明かしていく短編推理小説です。
ほかの貫井徳郎さんの作品と比べるとかなり軽いタッチで描かれた4つの短編小説が収録されています。
事件のトリックを巧妙に仕掛けたいという思惑が見え隠れしてしまって、あっ!と驚くようなどんでん返しや種明しとはならないのが残念なポイントです。
面白いか、面白くないかでいうと面白い部類に入るのかもしれませんが、作風が軽すぎて、殺人事件でも気持ちが入らず、緊張感がありません。
「後悔と真実の色」や「慟哭」で貫井徳郎ファンになった方はちょっとガッカリな作品かもしれませんが、軽い息抜きでサクッと読みたいならおすすめの短編推理小説です。
(単行本:-/文庫本:2006年05月)
「貫井徳郎 被害者は誰?」を探す
乱反射/貫井徳郎

「小さな罪の連鎖による殺人!?」題材は面白い!でも、だらだらと長い。そして結末はまぁこんなもんかという感じ
貫井徳郎さんの「乱反射」は第63回日本推理作家協会賞を受賞した推理小説で、第141回直木三十五賞の候補作品でもあります。妻夫木聡さん、井上真央さん主演でテレビドラマテレビドラマ化もされました。
小さな罪の連鎖による決して法では裁けない「殺人!?」という、いかにも興味をそそられる題材を扱った600頁近くある長編作品です。
いざ読み始めると「-44章」(マイナス44章)から始まるので、すぐに序章、話の前段だということ気付くと思います。日本推理作家協会賞でも「すでに知っている事柄の答え合わせをさせられている」感覚が強いと批評されたように、とにかく前段が長くて、くどいです。
題材が面白そうなだけに期待を持って読み進めましたが、何度か盛り上がりを見せる場面もあるものの、勢い続かず盛り上がる気配だけで終わってしまい結局、予想を裏切るような展開も驚きも無いまま、まぁこんなもんかという感じの結末で読み終わりました。
もっとテンポよく話の展開があって、最後に何か衝撃的などんでん返しがあれば良かったのになぁと「素人目線」で思いました。
(単行本:2009年02月/文庫本:2011年11月)
「貫井徳郎 乱反射」を探す
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クライマーズ・ハイ/横山秀夫

世界最大級の航空機事故をメイン題材に扱っているのに残念なストーリー構成
「クライマーズ・ハイ」は1985年、群馬県の御巣鷹山で発生した未曾有の航空機事故「日本航空123便墜落事故」を題材に描いた横山秀夫さんの小説です。
2003年8月に文藝春秋から単行本が刊行されると、2003年の週刊文春ミステリーベストテンで第1位を獲得、2004年には本屋大賞で2位を受賞した人気の作品で、サイトなどの口コミなどでも高評価を得ています。
しかし実際に読んでみると何を伝えたいかよく分からない作品で、そんな印象なのでもちろん作品の世界にも入り込むことも出来ず、なかなか読み進められずに読み終わるのにすごく時間が掛かりました。
世界最大級の航空機事故をメインの題材として扱っているにも関わらず、親子・家族の葛藤、同僚との友情、仕事への情熱、新聞社の内紛、会社組織での生き方、職場のいざこざなど、ほかのサブストーリーの題材が多すぎです。
ズルズルと消化不良気味で読み進めて結局、何が言いたいのか、何を伝えたいのか分からないまま、読み終わりました。
せっかく歴史的な「日本航空123便墜落事故」を題材に採用しているのだから、それをメインにしっかりと伝えて、サブストーリーは1つぐらいのストーリー構成が良かったのではないかと・・・偉そうに「素人目線」で思いました。
(単行本:2003年08月/文庫本:2006年06月)
「横山秀夫 クライマーズ・ハイ」を探す
真夜中のマーチ/奥田英朗

ストーリーの序盤、マーチというよりもビートを刻むようなテンポの良い展開にグイグイと引き込まれたのが嘘のような・・・
真夜中のマーチは、自称青年実業家のヨコケンと商社のダメ社員のミタゾウ、謎の美女クロチェがそれぞれの思惑を抱えて手を組んで、美術品詐欺のアガリ10億円をターゲットに完全犯罪を目指す、痛快クライム・ノベルの傑作です。
裏表紙の内容紹介ベースの粗筋をみると、よくある設定と思いながらも程よく興味をそそられて面白そうと期待を持ちつつ読み始めました。
自称青年実業家のヨコケンの登場シーンから始まり、ダメ社員 ミタゾウとの出会いと、マーチというよりもビートを刻むようなテンポの良いストーリー展開にグイグイと引き込まれていました。
しかし、続いてクロチェが登場して、3人が手を組んだあたりから、なんだか雲行きが怪しくなり、その後はグダグダのドタバタ劇が続きました。
2時間で完結するテレビドラマのように、時間の都合で申し合わせたような話の展開で、小説序盤の面白さがとても勿体ないと思ってしまう作品でした。
(単行本:2003年10月/文庫本:2006年11月)
「奥田英朗 真夜中のマーチ」を探す
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