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【素人目線で】東野圭吾の次に読むならこの作者・小説!おすすめ順で紹介(2)

【素人目線で】東野圭吾の次に読むならこの作者・小説!おすすめ順で紹介 東野圭吾さんの作品が好きな方が次に読むならこの作家!この小説!というテーマでおすすめ順で紹介。東野圭吾さんの次に読む作家を探すために読み漁ったいろいろな作家、小説をレビューします。

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陰の季節/横山秀夫

陰の季節/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星3.5個

やっぱり横山秀夫さんは短編小説と思わせる作品

「陰の季節」は警察本部の警務課(一般企業の人事部のような部署)の調査官、二渡真治を主人公とした警察小説です。一般的な警察小説とは違い、刑事が主人公ではなく、事件・事故が話の主体ではない、まったく新しい警察小説として第5回松本清張賞を受賞、第120回直木三十五賞の候補作品となりました。
4つの短編小説で構成されています。全体として登場人物に多少の繋がりはあるものの、話は短編ごとに完結するのですが、1つの作品ごとにしっかりとストリートがあり、かなり読み応えがあります。多少当たり外れはあるものの、あらためて横山秀夫さんはやっぱり短編小説だな、と思わせる作品です。
三作品目の「黒い線」は読んでいて・・・おや!?と思ったのですが、横山秀夫さんの短編小説「顔」と繋がりのある話で、「顔」を読む前に「陰の季節」を読むことをおすすめします。
当サイト管理人は逆の順で読んでしまったので、やはり違和感がありました。
(文庫本:2001年10月)

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看守眼/横山秀夫

看守眼/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星3つ

ストーリーの中に散りばめられた小さなヒントが絶妙だが・・・

横山秀夫さんの「看守眼」は、留置管理係、自叙伝のゴーストライター、家裁調停委員の主婦、県警ホームページの管理担当の警部、地方紙整理部所属の元記者、県知事の秘書など、身の周りにいそうな隣人が主役となるミステリー短編小説を6作品収録した、短編集です。
1つ1つの作品に繋がりはないので、どの作品から読んでもOKです。

6作品とも横山秀夫さんらしい、ひねりの効いた結末どんでん返しが魅力の作品で「エンディングが面白い」と期待できるから、最初から最後までワクワクして読めます。短編作品なので、サクサク読めるスピード感も堪りません。
ストーリーの中に散りばめられた小さなヒントが最後のなぞ解きに絡んでくるのが絶妙です。

残念なのは、そのヒントが分かりやす過ぎる点です。ヒントがどうエンディングに絡んでくるのかという楽しみはあるものの、露骨にヒントと分かるヒントというのはちょっと興醒めするところも。
(単行本:2004年1月/文庫本:2009年8月)

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貫井徳郎/修羅の終わり

修羅の終わり/貫井徳郎 文庫本 おすすめ度星3つ

ほぼ800ページの長編作品を飽きさせずに読ませる力は凄い!と思いつつも・・・

「修羅の終わり」は1997年に刊行された貫井徳郎さんの長編本格ミステリー小説です。警察官の鷲尾、公安刑事の久我、記憶喪失の〈僕〉の物語が錯綜しながら、クライマックスに繋がります。総ページ数800頁に近い長編作品なので読み始めるのを躊躇するような本の厚みです。
警察官・公安刑事・記憶喪失の〈僕〉の3つのストーリーがバラバラに同時進行するなかで、徐々にそれぞれのストーリーが関連していくのですが、関連性を持ち始めるのが遅い!いつ繋がるのだろうという期待感を持ちながら読み進めていく時間がかなり長いです。
それでも、程よい緊張感とワクワク感を維持しながら読ませる力は流石だなぁと思いました。
しかしながらエンディングがイマイチでした。予想を裏切るようなどんでん返しや驚きもなく、スッキリとした爽快感のある読後感もない、起伏のないエンディングでした。あわせてネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、辻褄が合わない点や結局、小説で描かれない疑問や違和感などが多すぎるのもマイナスポイントでした。
事細かにすべてを小説のなかで描く必要はないと思いますが、読み終わってみて、「なぜ・・・?」「・・・はどういうこと?」という疑問点が多すぎる気がします。読ませる力は凄いですが、読み終わってみると話の本筋に関係のない描写も多くページの使い方が今一つという印象の作品です。
(単行本:1997年02月/文庫本:2000年01月)

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町長選挙/奥田英朗

町長選挙/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星3つ

直木賞候補作、直木賞受賞作ときての第三作目。否が応でも高まる期待を持ちつつ読んだ感想は?

「町長選挙」は、「イン・ザ・プール」(直木賞候補作品)、「空中ブランコ」(直木賞受賞作品)につづく、奥田英朗さんの精神科医 伊良部シリーズの第三作目です。
直木賞候補作、直木賞受賞作ときての第三作目なので、否が応でも期待は高まります。「イン・ザ・プール」と「空中ブランコ」は5つの短編小説が収録されていましたが、町長選挙は4つの短編小説が収録されいます。総ページ数は10頁も変わらないので、1つ1つの作品が少し長い感じ、特に小説の作品名にもなっている「町長選挙」が長めです。
前述のとおり、否が応でも期待が高まりつつ読んでみた感想は、どの作品も面白いのだけれど、前作、前々作に比べるとイマイチ響くものがありませんでした。特に「町長選挙」がイマ一つでした。
イン・ザ・プール」や「空中ブランコ」を読んで感じたような肩の力が抜けて気持ちが楽になる、何とも言えない清涼感が「精神科医 伊良部シリーズ」の魅力だと思うのですが、「町長選挙」に収録されている4作品はどれもその清涼感が中途半端に感じました。
さらに残念だったのは主人公である伊良部一郎のキャラクター(個性)が「町長選挙」ではブレている印象を受けました。「イン・ザ・プール」や「空中ブランコ」では、破天荒で奇人だけど世間に毒されない少年の純粋さが憎めない魅力だったのに、「町長選挙」では俗っぽい感じで惹かれるものがありませんでした。
(単行本:2006年04月/文庫本:2009年03月)

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純平、考え直せ/奥田英朗

純平、考え直せ/奥田英朗 文庫本 おすすめ度星3つ

結末をドキドキしながら読み進めた・・・だけど結末は何だかなぁ

奥田英朗さんの「純平、考え直せ」は、歌舞伎町ではちょっとした人気者、気のいい下っ端やくざの坂本純平が対立する組の幹部の命(タマ)を獲ってこいと命じられ、決行までの三日間に気負い立つ純平が遭遇する、さまざまな出会いや別れを描いた小説です。
正直なところ、やくざの抗争というちょっと時代錯誤感のある題材ですが、それでも出会いと別れの末に純平がどんな運命を選ぶのか!?いろいろな予想や想像を膨らませてドキドキしながら、どんどん読み進められます。
裏表紙の内容紹介に「一気読み必至の青春小説!」とある通り、確かに一気読みしてしまいますが、純平はもう二十歳を超えているいい大人なので青春小説ではないような、、、
奥田英朗さんの読ませる力も手伝って、結末までドキドキしながら面白く読めただけに、拍子抜け感のある結末は何だかなぁという印象です。
(単行本:2011年01月/文庫本:2013年12月)

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愚行録/貫井徳郎

愚行録/貫井徳郎 文庫本 おすすめ度星3つ

最後まで面白く読めましたが、如何せん読後感が。。。

愚行録は、2006年3月に刊行された貫井徳郎さんのミステリー小説です。第135回直木賞の候補になり、2017年には妻夫木聡さん、満島ひかりさん出演で映画化されています。
一家四人が惨殺された1年前の未解決事件について、被害者の関係者たちがルポライターのインタビューに応える形で話が進んでいきます。
小説のタイトルどおり、愚かな人たちが被害者の関係者として登場して、さまざまな愚行録を語り、徐々に被害者像、犯人像が明らかになっていきます。
インタビュー形式で進む小説は初めて読んだので、最初はとても新鮮でしたが、インタビューが延々と続くので途中で少しダレてきました。
読み始めたときはイントロとしてインタビューで小説が始まり、そこからストーリーが展開すると思っていたので、いつまでも続くインタビューに余計に飽きてしまったという感じです。
話の展開のスピード感も、インタビュー=過去の話ということもあってリアルタイムの緊張感がなく一歩引いた感じでストーリーを眺めている感じです。それがこの小説の狙い通りの読み方なのかもしれません。
話の結末はあぁ・・・なるほど、そう繋がるのかという感じです。ただ読後感は良くないですね。最後まで結末が気になったまま面白く読み進められましたが、スッキリせず、気持ち悪さが残る終わり方です。
いずれにしても評価が大きく分かれそうな作品です。
(単行本:2006年03月/文庫本:2009年04月)

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イニシエーション・ラブ/乾くるみ

イニシエーション・ラブ/乾くるみ 文庫本 おすすめ度星3つ

「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー?

一般的には人気ミステリー作品と紹介されていますが内容は恋愛小説です。文庫本カバーに「最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。」と記載されていることがミステリー小説といわれる理由だと思います。
1980年後半(1986年~1987年)のバブル真っ只中の静岡、東京を舞台としていて、バブルの香りに懐かしいと感じる大人がいる反面、バブルを知らない若者が読むとちょっと時代錯誤な感覚を抱くかもしれません。

過剰な期待は禁物。種明しを分かっていても、2回目を読みたくなるかどうかが評価の分れ目

途中、やや過剰な性描写に辟易とする部分がありましたが、最後からの二行目の大どんでん返しを楽しみに読み進めました。
理解力のなさが問題なのかもしれませんが、読んでいる途中で「あれ?何かおかしいな?」という微妙な違和感を持ちつつ、最終的に最後からの二行目を読んでも「結局どういうこと?」と意味が分からず、解説を読んでも意味が分からず、ネットのネタバレサイトで調べて、はじめて「あぁそういうことか・・・」とやっと分かるという感じでした。確かにどんでん返しですね、微妙な違和感はスッキリしました。
種明しを知って二回目を読むと全く違った感じで読めると思いますが、「必ず二回読みたくなる」というのはどうでしょうか?「必ず」は言い過ぎな気がしますね。キャッチコピーなので仕方がないと思いますが。
面白い作品だとは思いますが、ただ「必ず二回読みたくなる」という過剰な煽りがなかったほうが最後のどんでん返しが活きたような気がします。
(単行本:2004年03月/文庫本:2007年04月)

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微笑む人/貫井徳郎

微笑む人/貫井徳郎 文庫本 おすすめ度星3つ

各章、面白い。面白いのだけれど、登場人物への思い入れがイマ一つ。そして酷評の多い「戦慄のラスト」は・・・

「微笑む人」はエリート銀行員が「本が増えて家が手狭になった」という不可解な理由で妻子を殺害。小説家の「私」が事件をノンフィクションにまとめるべく取材し、その真相に迫ろうとするミステリー小説。
小説は5つの章に分かれていて、すべての章が取材した内容をベースに描かれています。取材した内容と言ってしまうと新聞や雑誌の記事を想像しますが、しっかり小説として面白く読ませる内容になっています。各章が繋がって1つの小説になっていますが、それぞれの章でストーリーに話の区切りがあるので、とてもテンポよく読めます。
ただ話の中心人物であり、犯人でもあるエリート銀行員、仁藤俊実に興味を持ちつつも、思い入れが持てないので、どっぷり小説の世界に引き込まれることがありませんでした。どこか距離をおいた客観的な感じで見ているので、ハラハラドキドキがありませんでした。
また何かと酷評の多い小説の結末についてですが、当サイト管理人としては、世間で酷評されているほど酷いエンディングだとは思いませんでした。おそらく裏表紙に書かれている「戦慄のラストに驚愕必至!」という一文を期待すると期待外れになると思います。どちらかといえば、余韻を残す、そんな結末です。
ちなみに小説の本筋ではないかもしれませんが、最後の最後に「微笑む人」でモヤっとしたことを紹介しておきます。
貫井徳郎さんの微笑む人のWikipediaを見ると、小説家の「私」が女性小説家と書かれていました。しかし当サイト管理人は、小説家の「私」は男性だと思って、ずっと読んでいました。Wikiの記事をみて、もう一度、パラパラと斜め読みをし直してみましたが、女性だという根拠を見つけることが出来ませんでした。
あとまったく小説とは関係ない話ですが、小説の表示の絵の男性が斎藤工さんに見えてしかたがありません。2020年3月のテレビドラマ化では松坂桃李さんが主演されたようですが。
(単行本:2012年08月/文庫本:2015年10月)

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震度0(ゼロ)/横山秀夫

震度0(ゼロ)/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星3つ

半沢直樹と対極を行く作品。これが現実だとは思いたくない作品。

阪神大震災の前日、突然姿を消したN県警警務課長を巡って、キャリア組、準キャリア組、叩き上げのノンキャリア組の間で複雑に交錯する駆け引き、組織と個人の本質を鋭く描いた、横山秀夫さんの本格警察サスペンス小説です。
登場する大半の人物が自己保身、自己愛、自己防衛、自己正当化、自己弁護のために思考、発言、行動する泥沼のストーリー。池井戸潤さんの半沢直樹シリーズとは、完全に対極をいく作品になっていて、どこまで真実味があるのか分かりませんが、実際の警察がこんな姿であってほしくないと思うような内容です。
小説としては、部分部分の駆け引きや話の展開を取り上げると面白いのですが、全体を通してみると正直、いま一つ盛り上がりに欠けます。ちまちまストーリーが進んでいく感じで、グイグイと話の世界に引き込まれるような感覚がまったくありません。
唯一、感情移入ができそうな人物が、準キャリア組の堀川警備部長なのですが、登場シーンが短く、また話の中心になることも少なく、気持ちが入っていきにくいストーリー展開です。
阪神大震災の前日という設定も単に震度0(ゼロ)と言いたいだけのように思えて、無理矢理感が否めません。盛り上がりに欠ける震度0(ゼロ)の展開ではなく、ダイナミックな話の展開があったほうが良かったのではと思いました。
横山秀夫さんの作品は面白い作品が多いだけに期待も大きく、ちょっと裏切られた印象の作品でした。次に期待です。
(単行本:2005年07月/文庫本:2008年04月)

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64(ロクヨン)/横山秀夫

64(ロクヨン)/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星3つ

事前の期待感が大きかった分を差し引いても、いま一つ

「64(ロクヨン)」はテレビドラマ化、映画化もされた、横山秀夫さんの推理小説です。文庫本では上下巻に分かれていて、総ページ数が780頁もある長編作品です。
陰の季節」「動機」「顔(FACE)」に続く、D県警シリーズの4作品目で、映画では、キャッチコピー「日本映画史に残る傑作の誕生」のもと、主演、佐藤浩市さんをはじめ、三浦友和さん、椎名桔平さん、奥田英二さん、綾野剛さんと書か切れないほどの豪華キャストで前編、後編の二部作で全国放映されたので、言わずもがな期待を持って読み始めました。
しかし、まったく読み進めませんでした。特に前編は話の展開が少なく、同じような心理描写が繰り返されて飽き飽きとしました。刑事部と警務部の確執、対立、いがみ合い、警察組織の内情に興味がある方には面白く読めるのかもしれませんが、興味のない当サイト管理人にとってはつまらなく、毎日本を手に取るものの数ページ読んでは飽きてしまい、上巻を読み終わるのにめちゃくちゃ時間が掛かりました。
下巻は予想していなかった話の展開で引き込まれる場面もありましたが、結末にはどうも腑に落ちない箇所があり、違和感を抱えたまま読み終わったという印象です。無理矢理、上下巻に分けた??という感じで、もう少しコンパクトにまとまっていたら、スピード感をもって読み進められたのかなと思いました。
(単行本:2012年10月/文庫本:2015年02月)

「横山秀夫 64(ロクヨン)」を探す


月と蟹/道尾秀介

月と蟹/道尾秀介 文庫本 おすすめ度星3つ

小学生の複雑な心の内が見事に描かれた小説。だけど・・・

道尾秀介さんの「月と蟹」は2010年に刊行されて、第144回 直木賞を受賞した作品です。
小学生である慎一と春也の純粋で、真っ直ぐで、もろくて、強くて、優しくて、残酷で、複雑な思春期の少年の気持ちが見事に描かれています。海辺沿いや山並みの景色や自然の描写も目に浮かぶようなリアリティがあります。
慎一と春也の無邪気で残酷な儀式ごっこに、母親のいない、同級生の鳴海が加わることで、三人の関係は理屈で説明のつかない予測不能な揺らぎを見せます。
「大人になるのって、ほんと難しいよね」
と思わず、呟いたとおり、思春期を過ごしてきた多くの読者の方が共感しそうな心の描写が連発します。
心の描写や風景の描き方など、すごく上手いのですが、何か物足りない
どこか現実離れ、イマ一つリアリティが足りない。文章は上手いけれど、鬼気迫る迫力がなく、すごく中途半端な印象が残る作品でした。文章がやたらと上手いだけに勿体ないと思ってしまう作品です。
道尾秀介さんの「向日葵の咲かない夏」よりはおすすめですが、次にまた道尾秀介さんの作品を読みたいかというと二の足を踏む感じです。
(単行本:2010年09月/文庫本:2013年07月)

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顔/横山秀夫

顔/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星3つ

面白い、トリック、からくりも意外性があって面白い、でも今一つ何かが足りない。

「顔」は似顔絵婦警、平野瑞穂が主人公の警察小説です。5つの短編小説で構成されています。小説全体としては繋がりはありますが、短編の一話一話でストーリーが完結するので、テンポ良く読めます。
一話目「魔女狩り」は正直、面白くありませんでした。我慢して二話目にたどり着きました。二話目「訣別の春」以降、面白く読めました。二話から五話まで面白く読めて、ストーリーのトリック、からくりも意外性があって面白い!
短編一つ一つの終わり方が余韻を残す感じでとても良いんですが、どの短編も何かイマ一つ物足りないんですね。
婦警さんに憧れて婦警さんになった、主人公のバックボーンがどうも軽く感じられて、小説に重み、深みがでず、小説の世界に引き込まれる感覚がありませんでした。ストーリーはとても面白かったので、もっと主人公の背景設定に影があれば、グッとくるものがあったのかなと思います。
(単行本:2002年10月/文庫本:2005年04月)

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勁草/黒川博行

勁草/黒川博行 文庫本 おすすめ度星3つ

オレオレ詐欺ドラマのシナリオを読んでいるみたい

「勁草」はオレオレ詐欺をメイン題材とした犯罪サスペンス小説で、2014年に「破門」で直木賞を受賞した黒川博行さんが翌年2015年に刊行した作品です。
小説はオレオレ詐欺の掛け子、受け子と被害者とのやり取りのシーンから始まります。オレオレ詐欺の犯人と警察との息を飲む駆け引きが面白く一気に引き込まれます
作者の黒川博行さんが入念に下調べをしているのだと思いますが、その後もリアルなオレオレ詐欺の描写が続きます。新聞やニュースなどで見聞きする内容からは想像できないほどオレオレ詐欺の犯人が小賢しく慎重なことに驚きます。
文章は読みやすくストーリーも巧みに展開していくので、500頁以上の厚みも気にならずドンドン読み進めていけるのですが、登場人物に感情移入することもなく、話に引き込まれることもなく、ドラマの粗筋を追ってシナリオをひたすら読んでいる感じで、序盤で期待したようなドキドキ感やハラハラ感がまったくありませんでした。

最後のどんでん返しに期待したけど・・・

最後、逃げる犯人を追う刑事たち、焦らす展開に、あっ!と驚くような想像もしなかったような大どんでん返しを期待しましたが、えっ!終わり!?というような尻すぼみな結末で、えっ!?と驚くような肩透かしを食らいました。500頁以上も読んできて、これは無いだろうと・・・
黒川博行さんの小説は初めて読みましたが、次に直木賞を受賞した「破門」を読んでみて面白くなかったら、その次は無いですね。
(単行本:2015年06月/文庫本:2017年12月)

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動機/横山秀夫

動機/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星2.5個

柳の下の二匹目の泥鰌を狙うが・・・優劣の差が激しい短編集

横山秀夫さんの「動機」は、第53回日本推理作家協会賞を受賞した表題作「動機」を含む4つの作品が収録された短編推理小説です。
「動機」「逆転の夏」「ネタ元」「密室の人」それぞれ主人公が「刑事」「前科を持つ男」「女性記者」「裁判官」と切り替わるので、飽きずにテンポよく読めます
一作目に収録されている「動機」はベタな表現ですが、ハラハラドキドキの展開から最後、予想外のどんでん返しで、短編小説とは思えない読み応えがあります。予想できそうな結末でありながら予想を裏切るという面白さがあります。
二作目の「逆転の夏」も緊張感のあるストーリー展開とアッ!と驚く結末で面白いのは面白いのですが、予定の結末に合わせて話が作り込まれた感じが拭えない点がマイナスポイントです。
三作目、四作目の「ネタ元」「密室の人」も「動機」と同じくアッ!と驚くような、どんでん返しの結末を狙ったのだと思いますが、「動機」や「逆転の夏」と違って、ストーリーや人物像がスッと入ってこない読みづらい印象で、結末も狙った感をすごく感じてしまいイマ一つでした。
(単行本:2000年10月/文庫本:2002年11月)

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臨場/横山秀夫

臨場/横山秀夫 文庫本 おすすめ度星2つ

スタートダッシュで期待したが・・・急激な失速でガッカリした作品

「臨場」は「終身検視官」の異名をとる警察官、倉石義男が主人公の短編小説が8編収められた作品です。臨場とは警察組織において事件現場に臨み、初動捜査にあたることを意味します。
1つ目に収録されている作品「赤い名刺」はおすすめです。ギリギリ現実的にあり得そうなストーリー設定で短編小説にもかかわらず人物像がリアルに描かれています。伏線も用意周到で犯人が明らかになる結末は、驚きと意外性がありつつ、鮮やかに「やられた」という心地よさがあります。
赤い名刺がこれほど秀作なのに、それに続く7作品があまりにも凡作です。せっかくの個性的な主人公、倉石義男を活かし切れておらず、尖がったパーソナリティを台無しにしてしまっている印象を受けました。
また各作品のテーマが絞り切れておらずブレブレで、何を伝えたいのかよく分かりません。トリックなのか、ミステリーなのか、感動ものなのか。短編小説であまりにも欲張ってしまうと、こうなってしまうという印象です。
出だしの「赤い名刺」があまりにも良い作品だけに残念な1冊です。
(単行本:2004年04月/文庫本:2007年09月)

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