横山秀夫を読むならコレ!【素人目線で】選ぶ、おすすめ小説ランキング
実際に読んだ横山秀夫さんの小説のなかから読むならコレ!という、【素人目線で】とにかく面白くてハマる、おすすめの小説をランキング形式で紹介。
特別な文学的才能や知識がない管理人ですが【素人目線で】世間の評判は関係なく、先入観も遠慮もなく、素直に面白いと思って選んだ横山秀夫さんの小説を紹介します。
独断と偏見そして【素人目線で選んだ】横山秀夫小説の決定版です。
これから横山秀夫さんの小説を読もうと思っていて、どの小説から読めばよいか迷っている方の参考になれば幸いです。
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横山秀夫 小説おすすめランキング
順位 | 作品名 | 評価 |
---|---|---|
ルパンの消息 | ||
半落ち | ||
深追い | ||
4位 | 第三の時効 | |
5位 | 真相 | |
6位 | 陰の季節 | |
7位 | 看守眼 | |
8位 | 震度0(ゼロ) | |
9位 | 64(ロクヨン) | |
10位 | 顔 FACE | |
11位 | 動機 | |
12位 | 臨場 | |
13位 | 影踏み | |
14位 | 出口のない海 | |
15位 | クライマーズ・ハイ | |
16位 | ノースライト |
<【素人目線】評価の目安>
本選びの参考にしてもらえると幸いです。
:面白い、泣ける、超おすすめ!★5つはぜひ全部読んで欲しい!
:横山秀夫ファンじゃなくても、おすすめの高評価
:横山秀夫ファンなら、とりあえず読んでおきたい作品。
:イマイチかな?好みが分かれる平均点以下。
:読んでいる途中から失敗したと思った残念な1冊。。。
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ルパンの消息
処女作とは思えない圧倒的な傑作!一転、二転、三転・・・どんでん返しが繰り返して、最後は涙が止まらない
「ルパンの消息」は横山秀夫さんの実質のデビュー作、長編推理小説です。
1991年の第9回サントリーミステリー大賞の佳作に入選したのち、改稿作業を経て、2005年5月に刊行されました。
デビュー作ということもあり、横山秀夫さんの代表作である「半落ち」や「臨場」とはまた違った雰囲気があり、代表作を読んだ後に読むと新鮮さを感じると思います。
15年前、自殺として処理された女性教師の転落死は実は殺人だった。警視庁に入った1本のタレ込みで事件捜査が息を吹き返す。時効まで24時間、事件は解決できるのか!?というところからストーリーが始まります。(裏書より)
本作品は横山秀夫さんの処女作なのですが、処女作とは思えないストーリーの面白さ、何重にも展開するストーリーで最後まで飽きさせません。
この手の長編推理小説はトリックが明かさた後、最後のほうは惰性で読み進めて読み終わるというパターンも少なくないのですが、最後まで興味を惹き付けて、飽きさせません。
ネタバレになってしまうので詳しくは書けないですが、二転、三転、四転、五転とどんでん返しが繰り返されて、どんどんとストーリーが展開していきます。
最も衝撃だったの最後のエンディング。。泣けるような展開ではないと思っていたのに最後の最後で涙が出て、涙が止まりませんでした。
(単行本:2005年05月/文庫本:2009年04月)
「横山秀夫 ルパンの消息」を探す
半落ち
中だるみとは無縁の子気味良いスピード感でグイグイと小説の世界に引き込まれます
「半落ち」は横山秀夫さんの警察小説です。ちなみに「半落ち」とは警察用語で「一部自供した」という意味を表します。
2003年に直木賞の最終選考まで残るものの落選。一部の選考委員から「致命的欠点が存在」と指摘されて議論を巻き起こした話題作です。(後日指摘は間違いと判明。致命的欠点と指摘された内容はネタバレになるので記載しません)
一方、そんな物議を醸す中でも数多くの読者から高い評価を得てベストセラーになり、2003年週刊文春の推理小説ベスト10の第1位に輝いています。
小説は大きく6つの章に分かれていて、おのおのの章で物語の目線が入れ替わります。1つの章ごとに小さなクライマックスを迎えるので、まったく中だるみすることなく子気味良いスピード感で読み進められます。章が進むごとにグイグイと小説の世界に引き込まれていきます。
さすが横山秀夫さんの十八番である「警察・検事・新聞社」を舞台にストーリーが進行していきますが、そのリアリティが半端ないです。
そして現職警察官、梶聡一郎がアルツハイマーを患う妻を殺害するシーンは何度読んでも、涙が滲みます。
「ぁぁぁああっ」と嗚咽がもれる予想だにもしない衝撃の結末
小説の題名である「半落ち」に結び付く、妻を殺害してから自首までの「空白の二日間」について最後12ページで語られるのであるが、「あっ」と驚くどんでん返しの結末とかではなく、「ぁぁぁああっ」と嗚咽がもれてしまうのような心に響く、それでいて予想もしない衝撃の結末です。そして、とても心が温まる、読後感の良い、ここ最近では最高に読み応えのある、読んでよかったと思える作品でした。
この作品をきっかけに横山秀夫さんの作品を全部読もうと思いました。
(単行本:2002年09月/文庫本:2005年09月)
「横山秀夫 半落ち」を探す
深追い
とても短編集とは思えない圧倒的な重厚感と読後感
交通事故係、鑑識係、泥棒刑事、少年係、会計課長・・・三ツ鐘署に勤務する七人の男たちが遭遇した事件を描いた不朽の警察小説。本の裏表紙に書かれている内容紹介を読んでも、はっきりと記載されていませんが、7つの短編小説が収められた短編集です。短編集だと気付かずに読み始めた方もいると思います。
7つの短編集だとハズレの作品が1つや2つ混じっていても不思議ではないのですが、どの短編小説もめちゃくちゃ面白く重厚で粒が揃っています。7つの短編ごとに違った読後感を残すところも秀逸かつ印象的です。
さらに短編小説にもかかわず、長編小説の重み、深さがあるので、実は当サイト管理人も一番最初の短編「深追い」が終わるまで、短編集だと気づかずに読んでいました。
とにかく警察官のリアリティが半端ない
「深追い」で横山秀夫さんの作品を初めて読みました。もともと新聞記者をされていた筆者、横山秀夫さんの経歴のおかげなのでしょうか、人間描写、特に警察官の描写がとにかくリアルです。小説の中だから存在できる警察官ではなく、本当に存在しているかのような現実味がうまく小説の世界にスッと引き込んでくれます。
話の展開も小説ではなく、キレイ事でもなく、ドロドロとした現実なところもリアルです。それでいて最後は小説らしい展開を見せるところが凄い。
絶賛の言葉が付きませんが、とにかく一度読んでみてほしい作品です。もちろん当サイト管理人は、これから横山秀夫さんの作品をほかにも読んでいきますので、またレビューをアップしていきたいと思います。
(単行本:2002年12月/文庫本:2007年04月)
「横山秀夫 深追い」を探す
第三の時効
思わず声を上げてしまいそうな驚きの結末が連発!!
第三の時効は、2003年に刊行された「F県警強行犯シリーズ」の第1作目です。全6編が収録された連作短編集です。1つ1つの短編は独立したストーリーになっていますが、細かなところで話のつながりを持っています。
・沈黙のアリバイ
・第三の時効
・囚人のジレンマ
・密室の抜け穴
・ペルソナの微笑
・モノクロームの反転
と6つの短編が月間小説誌「小説すばる」に掲載された順に収められています。
なかでも「沈黙のアリバイ」と「第三の時効」がダントツにクオリティが高く、とにかく時間を忘れるほど、のめり込み、面白い。そして最後は、思わず「あっ!」と声が出てしまう種明かしが連発します。このスッキリ感が堪りません。
同じ作者とは思えないほど作品ごとにバラツキがあります。
最初の2作品が頭2つ、3つも抜けているので、その後の作品のどうも尻すぼみ感が否めない。「密室の抜け穴」でちょっと盛り返しますが、最後の「モノクロームの反転」は、どうした!?と言いたくなるほど手抜きな印象。なので★3.5個ですが、「沈黙のアリバイ」と「第三の時効」だけなら、間違いなく★5つの面白さです。この2作品だけでも是非とも読んでみてほしい1冊です。
(単行本:2003年02月/文庫本:2006年03月)
「横山秀夫 第三の時効」を探す
真相
「横山秀夫作品=警察小説」というイメージをいい意味で見事に裏切ってくれた作品
「真相」は、事件の奥に隠された個人対個人の物語を描いた小説5編を収めた短編小説集です。主人公は警察関係者ではなく、息子を殺された男であったり、絶対に当選しなければならない理由を背負って選挙に出馬する男であったり、5編おのおのが独立した物語になっています。
短編小説とは思えないしっかりとした読み応えがあり、先の読めないドキドキ感と、結末のどんでん返しもセットで楽しめる、粒ぞろいな短編集で、「横山秀夫作品=警察小説」という固定概念をいい意味で見事に裏切ってくれた作品です。
「真相」には本の題名にもなっている「真相」のほか「18番ホール」「不眠」「花輪の海」「他人の家」といった5作品が収められていますが、当サイト管理人の【素人目線】では「花輪の海」は今一つ盛り上がりに欠けましたが、それ以外の4作品は最初から最後まで、めちゃくちゃ面白く読めました。
(単行本:2003年05月/文庫本:2006年10月)
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陰の季節
やっぱり横山秀夫さんは短編小説と思わせる作品
陰の季節は、警察本部の警務課(一般企業の人事部のような部署)の調査官、二渡真治を主人公とした警察小説です。一般的な警察小説とは違い、刑事が主人公ではなく、事件・事故が話の主体ではない、まったく新しい警察小説として第5回松本清張賞を受賞、第120回直木三十五賞の候補作品となりました。
4つの短編小説で構成されています。全体として登場人物に多少の繋がりがありつつ、1つの短編ごとに話は完結するのですが、1つ1つの短編にしっかりと練られたストリートがあり、かなり読み応えがあります。もちろん短編ごとに多少当たり外れはありますが、あらためて横山秀夫さんはやっぱり短編小説だな、と思わせる小説です。
三作品目の「黒い線」は読んでいて・・・おや!?と思ったのですが、横山秀夫さんの短編小説「顔」と繋がりのある話で、「顔」を読む前に「陰の季節」を読むことをおすすめします。
当サイト管理人は逆の順で読んでしまったので、やはり違和感がありました。
(単行本:1998年10月/文庫本:2001年10月)
「横山秀夫 陰の季節」を探す
看守眼
ストーリーの中に散りばめられた小さなヒントが絶妙だが・・・
看守眼は、留置管理係、自叙伝のゴーストライター、家裁調停委員の主婦、県警ホームページの管理担当の警部、地方紙整理部所属の元記者、県知事の秘書など、身の周りにいそうな隣人が主役となるミステリー短編小説を6作品収録した、短編集です。
1つ1つの作品に繋がりはないので、どの作品から読んでもOKです。
6作品とも横山秀夫さんらしい、ひねりの効いた結末やどんでん返しが魅力の作品で「エンディングが面白い」と期待できるから、最初から最後までワクワクして読めます。短編作品なので、サクサク読めるスピード感も堪りません。
ストーリーの中に散りばめられた小さなヒントが最後のなぞ解きに絡んでくるのが絶妙です。
残念なのは、そのヒントが分かりやす過ぎる点です。ヒントがどうエンディングに絡んでくるのかという楽しみはあるものの、露骨にヒントと分かるヒントというのはちょっと興醒めするところも。
(単行本:2004年1月/文庫本:2009年8月)
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震度0(ゼロ)
半沢直樹と対極を行く作品。これが現実だとは思いたくない作品。
阪神大震災の前日、突然姿を消したN県警警務課長を巡って、キャリア組、準キャリア組、叩き上げのノンキャリア組の間で複雑に交錯する駆け引き、組織と個人の本質を鋭く描いた、横山秀夫さんの本格警察サスペンス小説です。
登場する大半の人物が自己保身、自己愛、自己防衛、自己正当化、自己弁護のために思考、発言、行動する泥沼のストーリー。池井戸潤さんの半沢直樹シリーズとは、完全に対極をいく作品になっていて、どこまで真実味があるのか分かりませんが、実際の警察がこんな姿であってほしくないと思うような内容です。
小説としては、部分部分の駆け引きや話の展開を取り上げると面白いのですが、全体を通してみると正直、いま一つ盛り上がりに欠けます。ちまちまストーリーが進んでいく感じで、グイグイと話の世界に引き込まれるような感覚がまったくありません。
唯一、感情移入ができそうな人物が、準キャリア組の堀川警備部長なのですが、登場シーンが短く、また話の中心になることも少なく、気持ちが入っていきにくいストーリー展開です。
阪神大震災の前日という設定も単に震度0(ゼロ)と言いたいだけのように思えて、無理矢理感が否めません。盛り上がりに欠ける震度0(ゼロ)の展開ではなく、ダイナミックな話の展開があったほうが良かったのではと思いました。
横山秀夫さんの作品は面白い作品が多いだけに期待も大きく、ちょっと裏切られた印象の作品でした。次に期待です。
(単行本:2005年07月/文庫本:2008年04月)
「横山秀夫 震度0(ゼロ)」を探す
64(ロクヨン)
事前の期待感が大きかった分を差し引いても、いま一つ
「64(ロクヨン)」はテレビドラマ化、映画化もされた、横山秀夫さんの推理小説です。文庫本では上下巻に分かれていて、総ページ数が780頁もある長編作品です。
「陰の季節」「動機」「顔(FACE)」に続く、D県警シリーズの4作品目で、映画では、キャッチコピー「日本映画史に残る傑作の誕生」のもと、主演、佐藤浩市さんをはじめ、三浦友和さん、椎名桔平さん、奥田英二さん、綾野剛さんと書か切れないほどの豪華キャストで前編、後編の二部作で全国放映されたので、言わずもがな期待を持って読み始めました。
しかし、まったく読み進めませんでした。特に前編は話の展開が少なく、同じような心理描写が繰り返されて飽き飽きとしました。
刑事部と警務部の確執、対立、いがみ合い、警察組織の内情に興味がある方には面白く読めるのかもしれませんが、興味のない当サイト管理人にとってはつまらなく、毎日、本を手に取るものの数ページ読んでは飽きてしまい、上巻を読み終わるのにめちゃくちゃ時間が掛かりました。
下巻は予想していなかった話の展開で引き込まれる場面もありましたが、結末にはどうも腑に落ちない箇所があり、違和感を抱えたまま読み終わったという印象です。素人目線だと無理矢理、話を引っ張って上下巻に分けた??という感じが否めず、もう少しコンパクトにまとまっていたら、スピード感をもって読み進められたのかなと思いました。
(単行本:2012年10月/文庫本:2015年02月)
「横山秀夫 64(ロクヨン)」を探す
顔 FACE
面白い、トリック、からくりも意外性があって面白い、でも今一つ何かが足りない。
「顔」は似顔絵婦警、平野瑞穂が主人公の警察小説です。5つの短編小説で構成されています。小説全体としては繋がりはありますが、短編の一話一話でストーリーが完結するので、テンポ良く読めます。
一話目「魔女狩り」は正直、面白くありませんでした。我慢して二話目にたどり着きました。二話目「訣別の春」以降、面白く読めました。二話から五話まで面白く読めて、ストーリーのトリック、からくりも意外性があって面白い!
短編一つ一つの終わり方が余韻を残す感じでとても良いんですが、どの短編も何かイマ一つ物足りないんですね。
婦警さんに憧れて婦警さんになった、主人公のバックボーンがどうも軽く感じられて、小説に重み、深みがでず、小説の世界に引き込まれる感覚がありませんでした。ストーリーはとても面白かったので、もっと主人公の背景設定に影があれば、グッとくるものがあったのかなと思います。
(単行本:2002年10月/文庫本:2005年04月)
「横山秀夫 顔 FACE」を探す
動機
柳の下の二匹目の泥鰌を狙うが・・・優劣の差が激しい短編集
横山秀夫さんの「動機」は、第53回日本推理作家協会賞を受賞した表題作「動機」を含む4つの作品が収録された短編推理小説です。
「動機」「逆転の夏」「ネタ元」「密室の人」それぞれ主人公が「刑事」「前科を持つ男」「女性記者」「裁判官」と切り替わるので、飽きずにテンポよく読めます。
一作目に収録されている「動機」はベタな表現ですが、ハラハラドキドキの展開から最後、予想外のどんでん返しで、短編小説とは思えない読み応えがあります。予想できそうな結末でありながら予想を裏切るという面白さがあります。
二作目の「逆転の夏」も緊張感のあるストーリー展開とアッ!と驚く結末で面白いのは面白いのですが、予定の結末に合わせて話が作り込まれた感じが拭えない点がマイナスポイントです。
三作目、四作目の「ネタ元」「密室の人」も「動機」と同じくアッ!と驚くような、どんでん返しの結末を狙ったのだと思いますが、「動機」や「逆転の夏」と違って、ストーリーや人物像がスッと入ってこない読みづらい印象で、結末も狙った感をすごく感じてしまいイマ一つでした。
(単行本:2000年10月/文庫本:2002年11月)
「横山秀夫 動機」を探す
臨場
スタートダッシュで期待したが・・・急激な失速でガッカリした作品
「臨場」は「終身検視官」の異名をとる警察官、倉石義男が主人公の短編小説が8編収められた作品です。臨場とは警察組織において事件現場に臨み、初動捜査にあたることを意味します。
1つ目に収録されている作品「赤い名刺」はおすすめです。ギリギリ現実的にあり得そうなストーリー設定で短編小説にもかかわらず人物像がリアルに描かれています。伏線も用意周到で犯人が明らかになる結末は、驚きと意外性がありつつ、鮮やかに「やられた」という心地よさがあります。
赤い名刺がこれほど秀作なのに、それに続く7作品があまりにも凡作です。せっかくの個性的な主人公、倉石義男を活かし切れておらず、尖がったパーソナリティを台無しにしてしまっている印象を受けました。
また各作品のテーマが絞り切れておらずブレブレで、何を伝えたいのかよく分かりません。トリックなのか、ミステリーなのか、感動ものなのか。短編小説であまりにも欲張ってしまうと、こうなってしまうという印象です。
出だしの「赤い名刺」があまりにも良い作品だけに残念な1冊です。
(単行本:2004年04月/文庫本:2007年09月)
「横山秀夫 臨場」を探す
影踏み
警察小説を得意とする横山秀夫さんの泥棒目線の小説というのは新鮮だが、期待外れなポイントが・・・
「影踏み」は、ノビ師と呼ばれる忍び込みプロ、真壁修一を主人公に描いた7つの短編小説から構成されるミステリー短編集です。警察小説を得意とする横山秀夫さんとしては、警察側ではなく泥棒という逆の視点から描かれた作品になっています。
「半落ち」を読んで横山秀夫さんの作品にハマり、全作品を読破しようと思っているのですが、結論から言いますと「影踏み」は外れでした。
ポイントは3つ。1つは、SFチックなところ。もともと現実味のないSF小説は好みではなく、焼死した双子の弟が主人公、修一の中耳から話しかけてくるのはどうも違和感があり、受け入れられませんでした。
もう1つは、主人公の真壁修一がピンチな場面でもたぶん大丈夫なんだろうと思わせてしまったところ。もちろん主人公なので、途中で居なくなることは無いだろうと思っていても、そういった安心感を感じた途端、ハラハラ・ドキドキ感が無くなり興醒めしてしまいます。
最後の1つは、各短編ごとにアッと驚かせよう、どんでん返しを狙った結末が用意されているのですが、どれも分かりづらい。当サイト管理人の読解力の問題もあるかもしれませんが、分かりづらい結末だと「どういうこと!?」っていう気持ちが先行して「アッ!」とも思わないし、爽快感がない。
ただし唯一、7つの短編の第5話「使徒」だけは別格に面白かったです。衝撃的な結末と涙無しでは読めない感動ものです。連作になっているので、ストーリーが分かりづらい点もありますが、この「使徒」だけでも読んでほしいと思うぐらい、おすすめの作品です。
(単行本:2003年11月/文庫本:2007年02月)
「横山秀夫 影踏み」を探す
出口のない海
横山秀夫さんらしい作品ではなく、それでいて・・・
出口のない海は、第二次世界大戦 太平洋戦争で大日本帝国海軍が開発した日本軍初の特攻兵器である人間魚雷「回天」への搭乗を決意した若者たちを描いた戦争青春小説です。
なぜ回天への搭乗を決意したのか。命の重みとは、青春の哀しみとは―――。
横山秀夫さんらしい警察官や新聞記者などを題材にしたミステリ小説とは違う一風変わった作品で、読み始めから意表を突かれます。
戦争、しかも特攻兵器「回天」を題材にしているので、重厚なストーリー展開を期待したのですが、期待とは異なり、どこか軽さとこじんまりとした感じがあって没入感にか欠ける内容でした。
生死の狭間にいるはずの登場人物の緊張感がいまひとつ伝わりづらく、思い入れが出来なかったのも残念な点でした。
(単行本:1996年04月、2004年08月[改題・全面改稿]/文庫本:2006年07月)
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クライマーズ・ハイ
世界最大級の航空機事故をメイン題材に扱っているのに残念なストーリー構成
「クライマーズ・ハイ」は1985年、群馬県の御巣鷹山で発生した未曾有の航空機事故「日本航空123便墜落事故」を題材に描いた横山秀夫さんの小説です。
2003年8月に文藝春秋から単行本が刊行されると、2003年の週刊文春ミステリーベストテンで第1位を獲得、2004年には本屋大賞で2位を受賞した人気の作品で、サイトなどの口コミなどでも高評価を得ています。
実際に読んでみると何を伝えたいかよく分からない作品で、そんな印象なのでもちろん作品の世界にも入り込むことも出来ず、なかなか読み進められずに読み終わるのにすごく時間が掛かりました。
世界最大級の航空機事故をメインの題材として扱っているにも関わらず、親子・家族の葛藤、同僚との友情、仕事への情熱、新聞社の内紛、会社組織での生き方、職場のいざこざなど、ほかのサブストーリーの題材が多すぎです。
ズルズルと消化不良気味で読み進めて結局、何が言いたいのか、何を伝えたいのか分からないまま、読み終わりました。
せっかく歴史的な「日本航空123便墜落事故」を題材に採用しているのだから、それをメインにしっかりと伝えて、サブストーリーは1つぐらいのストーリー構成が良かったのではないかと・・・偉そうに【素人目線】で思いました。
(単行本:2003年08月/文庫本:2006年06月)
「横山秀夫 クライマーズ・ハイ」を探す
ノースライト
ストーリーの雰囲気が暗くて、重い。内容の専門性が高すぎて、とにかく読みづらい
横山秀夫さんのノースライトは、「横山秀夫作品史上、最も美しい謎」と称されて、いろいろなランキングでも上位に入賞する横山秀夫さんの代表作品の1つです。
・「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門 第1位
・「このミステリーがすごい! 2020年版」国内編(宝島社) 第2位
・「ミステリが読みたい! 2020年版」国内篇 第2位
なので、否が応でも期待値が上がります。
高い期待値を持って、いざ読み始めてみると、めちゃくちゃ話の雰囲気が暗く、どんよりとして重いです。さらに建築用語や専門性の高い表現が至る所に用いられているので、とにかく読みづらくて、くどいです。
さらに建築物や自然、風景の緻密で、美しく細かな描写が多いのですが、その描写がストーリーのなかで浮いている感じがして、読み手の臨場感はいま一つでした。
また日本を愛したドイツ人建築家、ブルーノ・タウトがやたらと登場します。建築業界では世界的な権威なのかもしれませんが、建築についての知識のない管理人は、ちょっと辟易としました。
それでも、きっとワクワクするような展開がやってくると思って、期待しながら読み進めましたが、結局、ストーリーの浮き沈みは幾分あるもの、それほど盛り上がることも没入感もなく、エンディングを迎えました。
「横山秀夫作品史上、最も美しい謎」と称される種明かしも、ネタバレになるので詳しく書きませんが、驚きや衝撃、感動がなく、そんなオチかぁと少し残念な印象でした。
ノースライトは、一般的には評価の高い作品だと思いますが、特別な文学的才能や知識がない【素人目線】の管理人には、ちょっと難しすぎたのかもしれません。
(単行本:2019年02月/文庫本:2021年11月)
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